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──強くて頭がよくて何でもできる幼馴染なのに、俺が絡むと途端にぽんこつになっちまうんだもん。可愛くて楽しくて、他なんて目に入んねえっつうの。  でかい男なのに、可愛くて仕方がない。江彦がそうであるように、健斗にとっても同じだった。小さい頃からお互いしか見えてない。たとえどんな未来が待っていたとしても。  幼馴染の唇に健斗からそっとキスをしてやると、漸くモードを切り替えた江彦がシャワーを手に取った。時間が勿体ないとばかりに、二人で頭からかぶってざあざあと泡を流していく。  今日は健斗の家にいる。  いつもは江彦の家でご飯を食べるけれど、今日はあえて人のいない健斗の家に来ている。それはイコール健斗からのお誘いであって、江彦にとっても最優先事項であった。

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