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梅雨の君 最終話

 水曜日と土曜日の夜の十二時。 乾燥が終わるのを待ちながら、おしゃれなコインランドリーのソファで缶のミルクティーを飲む。初めのうちは大して興味のない雑誌ばかりだったのに、いつの間にか簡素なマガジンラックからデザイン性高めな本棚が置かれるようになって、漫画本も置くようになっていた。俺はそのうちの一冊を毎回読み込んでいる。  微妙な色の作業着に紺色のタオルを首に巻いて、足元は歩きやすいサンダルに変わった彼は蚊に刺された脛をガリガリと掻き毟りながら、俺の手の中の漫画を横から覗き込んでいる。時折ページを捲るように肘で催促してくる。その間、特に会話は無い。 ピーーー  乾燥終了のブザーが鳴る。 二人同時に立ち上がって、作業台に並んで取り出した洗濯物を畳む。無言のまま事務的に洗濯を終えると、さっさとコインランドリーを後にする。降っていた雨はいつの間にか止んでいて、コインランドリーの自動ドアを抜けると雨上がりのジメジメした生ぬるい雨の残り香がムッと立ち込めていた。黒い軽自動車に洗濯物用のショッピングバッグを二つ積み込んで、二人で乗り込む。俺と彼は車内でこっそりキスをした。 梅雨の君 END

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