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第15話 誰のものか

涼太、おっせぇな・・・ なかなか来ない涼太が心配で、なんとか女達を振り切り、部屋を出て辺りを探す。 受付から少し入ったところのラウンジスペースに座る涼太と宮野がいた。 「涼太!」 「あ、山田、涼ちゃん熱あるみたいなんだけど」 涼太はソファにもたれ掛かり、瞼を閉じ、辛そうに肩で大きく呼吸をしている。 宮野のコートが涼太にかけられているのを見て、心がざわついた。 「宮野、悪いけど、今日はこのまま、こいつ連れて帰るわ」 「その方が良さそう。みんなには俺から言っとく」 俺はコートを宮野に返し、涼太をおぶって外に出た。 「ふーん・・・?」 ーー青と涼太の後ろ姿を見ながら、のぞむが呟く。 「もっと触っときゃよかったな」 ーーあの時、涼太の首に伸びた手が肌に触れるのを一瞬躊躇い、シャツのボタンを留め直したことを少し後悔するのぞむ。 「いや、かっさらといた方が良かったかな?」 カラオケを出てすぐにタクシーに乗り、自分たちの部屋に帰った。 涼太の寝室へ入り、ジャケットを脱がせてベッドに寝かせると、涼太は高熱で体が熱いのか、シャツの襟元を苦しそうに掴む。 着替えさせた方がいいか・・・ シャツのボタンを外すと、そこにひとつあるはずの紅い跡が、なぜか3つある。 「な・・・んで」 心臓が嫌な音をたてて速度を上げるのがわかる。 ふと、宮野のコートが掛けられていた涼太の姿を思い出し、悪い予感が加速する。 上気する顔、潤んだ目元、荒い呼吸、紅潮した肌、涼太のそんな姿を見て、宮野が何を思っていたか想像するのは難しくなかった。 皮膚の下を醜い感情が這いずり回る。 もう・・・無理だ。 涼太のシャツの前を乱暴に開くと、うっすらと重い瞼が開き、熱を帯びた瞳と視線がぶつかる。 「え・・・あお・・・オレ・・・ここ、オレの部屋?」 掠れた声で、状況を理解しようとする涼太。 「喉、つらそうだな、水飲ませてやるよ」 「え・・・あ?う、んんぅ・・・」 俺は、ペットボトルから自分の口に含んだ水を、口移しで涼太の喉の奥に流し込む。 舌を入れると、涼太の口内の熱さにゾクッと体の芯が疼いた。 熱に浮かされた瞳は、潤んで、顔を赤らめている様は、まるで誘っているかのようだ。 「そんな顔、宮野に見せたのかよ?」 「は?そんな顔、・・・って?」 「男、誘ってるみたいな顔、見せたのかって聞いてる」 「男、って、そ・・・んな顔してる訳、ねえじゃ、ん」 涼太がふいっと視線を逸らす。 「こっち向け。そーゆーのが男誘ってるって言ってんだよ」 涼太の首筋を指でなぞり、キスマークの場所を指で教える。 「これが俺のつけたしるし。ここと、ここは誰に付けられた?」 「え・・・」 涼太がゆっくり起き上がって、ふらついた足でクローゼットに備え付けられた鏡の前まで歩く。 「なんで?これ・・・」 涼太の後ろに立ち、クローゼットにバンッと手をつく。片手で後ろから顎を掴み鏡越しに涼太と視線を合わせる。 「自分の顔、よく見ろよ。その顔で、男、誘ってねえって言えんのか?」 「っ、誘って、ねえっ」 「じゃあ、この跡は何なんだよ、俺以外の跡が、ふたつも付いてる」 「知らねぇよ!」 「一回じゃねえ、二回、吸ってんだ、わかるか?この意味」 「・・・わかん、ねえ」 「おまえに欲情したのは気の迷いじゃねえって事だ。一度だけじゃ足りなかったって事だよ」 「なん、っで、嘘だろ、青、以外に、オレにそんな事しようなんてやつ、いるわけねえ」 「俺以外の前で、そんな顔して男寄りつかせてんじゃねえよ」 シャツを無理やり剥ぎ取り、上半身が露わになった涼太の両手を後ろ手に拘束する。 「いや、だ・・・そこ、さわんな、あ、あ、ぅ」 涼太の薄く色づいた胸の先を、何度も爪で軽く引っ掻くように弄ると、ぷくっと膨れてくるのがわかる。 「顔だけじゃなく、体だってちゃんと見ろよ。男に触られて、悦んでる。甘そうな色で誘って、もっと、って言ってる」 「や、めろよ、ちがっ」 涼太が、鏡に映る自分から目を背け、泣きそうな声で否定する 。 このまま、涼太に全てが見える鏡の前で、めちゃくちゃに犯してしまいたい。 鏡の中に映る自分の顔が、涼太に激しく欲情している。 こんな俺の顔を、涼太は何度も見てきたのだろうか。 涼太が、熱くなった体を自分の足で支えられなくなって、倒れそうになる。後ろから支えベッドに倒し、涼太の上に覆い被さると、涼太が震える声で俺に問いかけてくる。 「なあ、オレ、このまま女抱けねえのかな・・・」 「女は抱かせねえ。男にも抱かせねえ。涼太、俺のものになれよ」 「あ、おの・・・もの・・・」 熱っぽい瞳を揺らして明らかに動揺する涼太。 俺は涼太にそっと口付ける。 「こういう事。わかる?」 「・・・わかんねぇ」 ほんっと鈍感だな、こいつ・・・ 「女なんか抱けねえ体にしてやるよ」 涼太の唇を噛み付くように奪って、涼太の熱い舌を吸う。 「かはっ、ぁ、ぁ、ゃ」 「抵抗しても、泣いて頼んでも、途中でやめてやらねえ。だから、俺のものになれ、涼太」 高熱の中、俺の言葉が理解できない涼太に言い聞かせるように、俺は何度もキスを繰り返した。

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