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第80話 純愛 2

病院に着いて、タケルが処置室へ運ばれる。 オレは廊下のソファで看護師にもう一度状況を説明して、ただその場で待つことしかできなかった。 「涼くん?」 名前を呼ばれて顔を上げると、美織が白衣で立っている。 「ねーちゃん・・・」 ここ、みおりの病院だったのか・・・ 「もしかして、運ばれてきたの、青?」 「いや、後輩。ねーちゃんが診んの?」 「私は呼吸器外科だから、救急か、整形の医者が診るんじゃない?」 「・・・頭から血出てて・・・あいつ大丈夫なのかな?」 「頭部は出血しやすいし、少し切れただけでも結構出血量が多いの。処置室に運ばれたのなら、たぶんそんなに酷くないはずよ」 そーなのか・・・ 「涼くん、顔色悪いわ。大丈夫よ、ここの外科はみんな優秀だから。じゃあ、私行くわね」 美織が去って暫くして、処置室からストレッチャーにのせられたタケルが出てきた。 「タケル!」 「涼太さん・・・」 意識戻ったんだ・・・。良かった。 「脳震盪、起こしてたみたいですね。こめかみに裂傷があり、縫合しました。そっちは大したことないですね。念の為、一日入院、明日もう一度検査となります」 医者から説明を受けたオレは、店長に連絡してタケルが運ばれた病室へ入る。 「涼太さん、迷惑かけてすみません」 「なんでタケルが謝るんだよ。ごめん。オレのミスなのに。オレなんか庇って怪我してどーすんだよ、タケルになんかあったらオレ・・・」 「ふふっ、涼太さん、心配し過ぎですよ。でも、怪我して心配してもらえるなら、俺、毎日でもします」 「笑えねーから」 はぁ~、ほんと大したことなくて良かった。 「タケル、なんか欲しいもんとかあったら言って」 「あ・・・じゃあ・・・涼太さんがいいです」 え!? 「嘘です。いや、嘘じゃないけど・・・涼太さんさえよければ一晩、付き添ってくれませんか?」 ええ!? 「駄目、ですよね。恋人も心配するだろうし」 青にまた心配させたくない。でも、オレの責任だし・・・ ヴーヴーヴーヴー スマホの着信を見ると、店長からだった。 「店長からだ。ちょっと出てくるわ」 病棟の談話スペースで電話に出る。 『あ、涼太?タケルの親御さんに連絡したんだけど、今日は病院行けそうにないらしい。明日、午前中には顔出すそうだから、タケルに伝えといてくれ』 「わかりました」 『あと、本部からの監査入るから、明日は臨時休業になるし、おまえらゆっくり休めよ』 「はい。ありがとうございます。すみません。ご迷惑お掛けして・・・」 店長との電話を切って、青に電話をかける。 ・・・出ねえ。 バイトかな・・・ 後でもっかい、かけるか。 病室に戻り、タケルに店長の話を伝える。 「なんか、大事になっちゃいましたね」 「そうだな。・・・オレ、一晩、付き添うよ。オレの責任だし」 それくらいしねえと、怪我したタケルに申し訳ない。 「涼太さんのせいじゃないですよ。業者が悪いんです。あんな積み方してたら崩れますよ。でも・・・」 タケルがオレを見て、ニコッと笑う。 「涼太さんと一緒にいれるから、俺、業者にも感謝してますよ」

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