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第91話 変 1
「はぁ~~~~」
「てめえ、もう何回目だよ。隣で、はあはあうっせぇんだよ」
講義中、隣に座った宮野が溜息をつきまくっている。
「あ、ごめん」
なんかあったのか?と聞いて欲しそうなので、あえて聞かない。
「あのさ、俺、最近変なの」
勝手に話し出すのかよ!
聞いてねぇっつーの!
「山田、涼ちゃんのどこが好き?」
は?なんで宮野に言わなきゃなんねんだよ。
めんどくせえ。
とりあえず、適当に言っとくか。
「全部だよ」
「・・・だよなぁ。俺も涼ちゃんが好きだ。可愛いしキレイだし、あんな子抱けたら、いいよなぁ」
はぁ?何こいつ!ケンカ売ってんのか?
「俺さ、最近変なの」
「さっきも聞いたって」
「涼ちゃんは、可愛くてキレイで、抱きたいって思うんだけど」
「それも今聞いたとこだって」
「なんか違うんだよな・・・」
「何がだよ」
宮野が遠い目をする。
「・・・はぁ~~~~~」
ほんとなんなのコイツ!
気持ち悪っ!
結局、宮野は一日中、溜息をつきにつきまくってバイトに向かった。
はあ。なんかキモかったな。あいつ。ずっと溜息ついてて、こっちの方が疲れるわ。
明日、俺も涼太も休みだし、帰ったらゆっくり癒してもらおう。
「ただいまー」
「おかえり、涼太」
仕事から帰ってきた涼太を、俺は玄関まで迎えに出てぎゅーっと抱きしめる。
ああ~、癒される・・・。
「青っ、ちょ、今日はそーゆーのはちょっと・・・」
「は?なんで?ただいまのキスは?・・・」
俺は、玄関のドアが閉まりきっていない事に気づく。
「お邪魔します♡」
「み、やの・・・なんでてめぇがいんだよ」
ドアの隙間から宮野が顔を出す。
「きちゃった♡つーか、山田、いつもこんな熱烈なお出迎えなの?」
今日はてめぇにストレスかけられて、こーなってんだよ!
「ほっとけ。だからなんでお前がいるんだって聞いてる」
「あのさ、ふたりに相談のって欲しくって。涼ちゃんに言ったら、お招きしてくれるってゆってくれたから」
涼太ぁ~。せっかく明日休みだから、イチャつけると思ったのにぃ~。
ガックリ・・・。
「のぞむ、入れよ」
入れんなよ、涼太ぁ~!
「お邪魔しまーす」
そして入んじゃねーよ、宮野!
「男二人なのに、キレイにしてんだね。さすが涼ちゃん」
俺が掃除してんだよ!
「あー、オレ掃除しない。青が掃除担当だから」
「マジで!?山田、けっこーマメなんだね」
「のぞむ、夕飯まだなんだろ?なんか作るわ」
なーんで、宮野に手料理食わすんだよ!腹立つな・・・
涼太がキッチンに入り、パスタを茹で始める。
ソファに座った俺の横に宮野が座る。
「で、なんだよ?今日の溜息と関係あんだろ?」
相談でもなんでも、さっさと聞いてさっさとコイツを帰そう。
「そーなんだよ。俺、変なんだよ」
「だーかーら、それは昼も聞いたって」
変なのはいつもの事だろーが!
「俺、タケルくんに恋しちゃったかも」
・・・
・・・
・・・
・・・
ええ~!
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