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第160話 大人の余裕 4

バタン 玄関のドアを閉めてすぐに、俺は涼太のコートを脱がせて、ワンピースの背中のファスナーを下ろす。 「あ、青!脱ぐのは部屋入ってからでいいだろ!」 「ここで脱げよ。早く男に戻れ」 「なんだよ。この前は女のカッコのままとか言ってたくせに」 文句を言いながら涼太は、ウィッグを外して髪を両手でバサバサさせる。 「ぶっ!ううっ痛い痛い痛い痛い!」 脱がせたワンピースで涼太の顔を擦って無理矢理化粧を落とす。 「もー!雑!嫌なら洗ってくるのに!」 「待てない」 下着一枚にして廊下に押し倒し、深く舌を絡ませながら、下着の中に手を入れ前を強めに弄ると、すぐに先端の小さな穴から涎を垂らす涼太。 それを掬って後ろに塗り付ける。 「青、待て。こ、ここで?」 「どこでヤったって、涼太が気持ちいいのには変わりねーんだから黙ってされてろよ。入れるぞ」 「え!?もう!?ちょ、ま、・・・っ、いってぇっ」 解れていない所に無理矢理押し進むと、涼太は体を震わせながら、床についた俺の腕を爪が食い込むほど強く掴む。 「痛い?前、垂らしっぱなしだけど?」 「痛い!ほんとっ今日、雑!」 優しくする余裕なんか、無い。 涼太が俺だけに乱れる姿を一秒でも早く見たい。 ゆっくり抜き差しを繰り返すと、痛みに引き攣っていた涼太の表情がだんだん緩んで、瞳が潤んでくる。 「そこ、じゃ・・・な、くて・・・」 一番感じるところを避けて動くと、涼太は自分から腰を揺らした。その動きに応えずに、俺は前後させる速度を落とす。 「や・・・、あお・・・」 「なに?」 「わか、てるっ、くせ・・・に」 わかってるよ。そこに欲しいって事くらい。 「涼太。ごめんって言って?キスされたこと」 「え?や、っぱ、怒ってん、じゃん・・・」 「悪いと思ってんなら言えよ」 「・・・ごめん」 それでも涼太の欲しい所を刺激しないように動く。 「あおっ、なあ、も・・・ぉ、おねが・・・」 「お願い、じゃなくて、ごめんなさい、だろ?」 「う・・・、っ」 涼太の瞳から涙が零れる。 「ご、ごめ・・・な、さい」 「聞こえない」 「ごめん・・・、なさ、い」 「もっとちゃんと言えよ」 「ごめんなさい!」 ハッキリとした言葉を聞いて、俺は涼太の望む所を自分の先で擦るように責める。 「んっ、・・・あ、あっ・・・」 「涼太、気持ちよくなってないで、ちゃんと謝れよ。俺、めちゃくちゃ傷付いてんだけど」 「あ、あ・・・ごめ、んっ・・・なさ、あっ」 「もっと。じゃないと許せねぇ」 「ごめんなさいっ、ん・・・っ、ごめ・・・」 俺に許されたくて、ぐちゃぐちゃに感じながらもひたすら謝る涼太。 そんな涼太を見て満たされてるなんて、ほんとどうしようもねぇな、俺。 やっぱり俺は涼太の事になると、余裕なんかなくなってただの情けない小心者だ。 あの頃より大人になろうが、医者になろうがそれはきっと変わらない。 「涼太」 『俺がこんなでも、涼太はずっと好きでいてくれんの?』 俺は言いかけた言葉を飲み込むように、涼太の首筋に強く歯を立てた。

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