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第210話 happy wedding 3
真性のバカなのか、純粋過ぎるだけなのか、それとも本当にこいつは四次元から来たのか・・・。
もう10年以上も涼太を見てるけど・・・未だにこいつは俺の理解出来る範囲を軽く飛び越えるよな。
「はあ、でもこれ・・・絶対『ひーと』だ。からだじゅう熱いし、青に入れて欲しくて・・・ どうにかなりそう」
だからそれは酒がまわってるだけ・・・
「んんっ!お客さん着きましたよ。・・・5490円です」
タクシーはいつの間にかマンションの前で停車していた。
「お釣りは結構です」
俺は6000円を支払って、涼太を支えながらタクシーを降りる。
ドライバーさんすみません。お釣りは迷惑料として取っておいてください。
エレベーターに乗った途端に、涼太がジャケットを脱ぎ捨て俺のベルトに手を掛けてくる。
「おい!まだウチじゃねぇんだぞ!」
「知ってる。でももう無理。早くコレ欲しい」
ベルトに掛けられた手を掴んで制すると、涼太は床に両膝を着き、ボトムの上から俺の中心部を唇で挟み甘噛みしてくる。
「・・・っ、涼太待てって!」
「やだ」
ダメだ。こいつ完全に酔っ払ってる上に、『ひーと』とかいう奇妙な自己暗示にかかってる!
8階でエレベーターが開き、涼太の腕を引きながら脱ぎ捨てられたジャケットを拾い、部屋へと急ぐ。
寝室のベッドに涼太を突き放し、俺は自分のジャケットを脱いでネクタイを緩めた。
「外で散々煽った責任、取ってくれるんだろうな」
「それはお前じゃん・・・。『おめが』は『あるふぁ』がそばにいると発情するんだぞ。オレがこうなってんのは、青のせいなんだからな」
いつ俺があるふぁとやらになったんだっつーの!この酔っ払い!
「アホか。そんなもんで発情してたら、世の中おかしくなんだろーが」
「あ!バカにしたな!珍しくあさみさんがいい事教えてくれたのに・・・」
「電波な事言ってないで、いい加減黙ってろよ」
解いたネクタイで涼太の口を塞いで、脱がせたシャツを両腕に巻き付け拘束する。
「うぅっ」
「そんなに俺の子供が欲しいなら、お望み通り嫌って程ブチ込んでやるよ、奥の奥にな。欲しくて堪らねーんだろ?」
「うっ?」
拘束された涼太の表情は、少しだけ冷静さを取り戻したように見える。
「確か・・・今夜は寝かせてくれないんだったよな?」
「う~っ」
腕に巻き付いたシャツを外そうともがき出す。
「気絶したら許さねぇからな」
「うぅぅ~っ」
何か言いたげな涼太。
俺は、口を塞いでいるネクタイを緩めてやる。
「ぷはっ、欲しいっつったけど、こんな無理矢理な感じじゃなくて!もっと、なんつーかこう・・・いい感じで!」
いい感じってなんだよ。
「訳わかんねぇ呪文ベラベラ言ってたら、いい感じになんねーだろ。逆に萎えるわ。だから今日は黙っておとなしくしてろ」
「じゅもっ?・・・・・・うぅ」
もう一度ネクタイを涼太の口に噛ませて後頭部で結ぶ。
不安そうに揺れる瞳。
それが余計に俺を誘惑している事に、気付かないんだろうな、こいつは。
バカげた呪文にかかって、涼太となら子どもだって作れそうな気が薄らしてくる俺。
首すじを甘噛みして吸い上げると、涼太の肌は熱を上げ、瞳が潤んで・・・その先の快感を覚えている体が震えている。
恥ずかしがる涼太も、積極的な涼太も、怯える涼太も、バカっぷりを炸裂させる涼太も、快楽に溺れる涼太も・・・。
結局どんな涼太でも、俺は萌えて燃えまくってしまう。
俺は、天然ノンケと同棲している。
正確には、天然〝元〟ノンケ。
俺が育てた俺専用の天然魔性。
そして俺は恋に落ちてしまった時から永遠に、涼太の天然に振り回され、その魔性の虜なのだ。
END
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