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第1章「高梨優大」第1話
別に新しい出逢いとか、そんなものを期待しているわけじゃない。ただ時折、無性に人恋しくなって、自分と同じ指向の人たちの中に身を置いて安心してみたくなる。
高梨優大がたまにふらっと、ゲイの集うそのバーに出掛けるのは、そんな理由からだった。
……あれ。トイレ……まだ使用中なのか。
さっき見に来た時も、中に人の気配を感じていったん席に引き返したのだ。
ここのトイレは雑居ビルの共有スペースだが、少し広めの洗面室の奥に個室がひとつあるだけの造りだ。
優大は溜め息をついて店の中へと戻りかけ、ふと、中から聞こえる複数の男の笑い声と微かな呻き声に気づいて足を止めた。気になってそっとドアを開けて中を覗くと、狭い洗面室に男が4人もいた。
大柄な3人と小柄な1人。
その小柄な男には見覚えがある。この店の店員だ。
男たちは、ドアの隙間から覗いている優大には気づかず、下卑た忍び笑いを漏らしながらその綺麗な青年を取り囲んでいる。よく見ると床に跪かせて押さえつけ、1番体格のいい男が自分の下腹のモノを口に咥えさせていた。
……うわ。 まずい所に出くわした。
優大は慌ててそっとドアを閉め、見なかったフリをして店に戻りかけた。だが、明らかに嫌がっている青年の表情が気になって引き返し、もう1度ドアを開けた。
青年は下半身を脱がされて、シャツ1枚がかろうじて腕に引っかかっている状態だった。今度は洗面台に座らされている。口にはハンカチを突っ込まれていた。両脚を大きく広げさせられて、無理やり尻を弄られているらしい。
やがて、男の1人がベルトを外しながら青年の脚の間に身体をねじ入れた。青年は塞がれた口からくぐもった悲鳴を漏らす。
……これって、レイプじゃないか。
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