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第10話(後編)

「え、えっ、ちょ……うわわっ」 返事を聞く前に押し倒してみたものの、なんとも色気のない悲鳴に少し気落ちして萎えかける。 「おまっ、さっき最後までしたばっかだろ!盛ってんじゃねぇ……っ」 ジタバタとまだ抵抗する絢瀬さんの上に股がってスルり、シャツの裾から地肌に触れる。 「優しく……しますから」 (『なるべく』ですけど……) 「優しくって……んな顔して言っても説得力ねぇよ…」 さわさわと俺より少し鍛えられた伊吹さんの胸部を撫でると、ひくり、お腹が震えた。 「これ、きもちい?」 撫でるだけの、たまにコリコリの乳首が手のひらにあたって捏ねるだけの弱い刺激でも絢瀬さんには甘美な快感となって徐々に顔が蕩け始める。 「うっせ……気持ちくねぇよ」 真っ赤な顔して、説得力ないのはどっちなんだか。 こんなにビクビク感じてるくせに強がりを言う絢瀬さんの乳首を指と指でグリグリ摘む。 「んんっ、ぁ……やだ、それ……」 一変して下がり眉で見つめられ途端に下半身が熱を持ちはじめる。 うっわ。まじ精力猿かよ……俺。 いーや。可愛い絢瀬さんが悪い。絶対そう。 これ以上みっともなく盛らないように、ほぼ無心で絢瀬さんの後ろを慣らす。 「ぁ、おい……いつまで慣らしてんだよ」 「っん……指、気に入りませんか?」 無言で伸ばしてくる手を握り返してゆっくり自分のを後ろへ宛がう。 「……早くこっから出るためだからな」 「ふふ、はいはい」 _________________ 「んっ、ぁあ……やだ!も、むり……!」 絢瀬さんは生理的な涙でグズグズになった顔でやだやだ言いながら2回目の射精を迎えた。 事を始めて約30分。 部屋のドアはまだ開かない。 「なっ、で…からイキ、しないと出れな……っ」 そう理由は一つ、単純に空イキしてないからだ。 早く出てふたりきりでゆっくりしたいって気もあるけど、このままイきたくないのにイかされてトロトロに蕩ける絢瀬さんを見ていたい……とも思う。 「はぁっ、は……も、いきたくな……っ」 辛そうに上下する肩で呼吸を整えながら俺を睨む。 「絢瀬さん、ほらちゃんと握ってないとまた射精しちゃいますよ」 俺の上にへたんと倒れ込んで両手どころか身体中に力が入っていないと分かってながらも、そう言うのだからやっぱり俺は腹が黒い。 「ぃあっ、や、むり!むりだから!!」 力なく首を左右に緩く降ってぎゅうと袖を掴まれる。 「でも絢瀬さん支えてるから両手使えないし……だから絢瀬さんが頑張って握っててください」 眉を下げて不満そうに睨まれるけれどやっぱり煽られてるようにしか見えない。 「んっ、ぁ……も、むり……あっあっ、ぁあ!」 容赦なく始まる律動、合わせて乱れる嬌声。 全てが甘い媚薬のように身体中を蝕む。 「イって……いいですよ……っ」 「んっぁああっ、!あっ、ぁぁ……」 一際大きく腰が震えてナカを思い切り締め付けられる。 うわ、すげぇ動き。 出そう……っ 「はぁっ、はぁ……、は………っバカ!」 流石に無理をさせてしまったからかぐったりとベッドに沈む絢瀬さんの隣に横になる。 「腰きつい……」 「ごめんなさい。流石に無理させました」 「…………すぐ終わらせるって言ったのに。うそつき」 「絢瀬さんが可愛すぎて止まれませんでした」 「…………馬鹿じゃねぇの」 また不満そうにつーんと反対側を向いてしまう、けどしっかり耳たぶを赤く染めた綾瀬さんの手を握って俺は眠りについた_________ 目が覚め一番初めに目に付いたのが見慣れた壁、白いカーテン、柔らかいいつものベッド、愛しい恋人。 寝起きがすこぶる悪く『あ゙ーー…』と低く唸る年相応の恋人。 戻ってこれた……のか? 寝てしまって記憶が少し曖昧なんだけど。 結局絢瀬さんには無理させてしまった。 『んっ、ぁあ……やだ!も、むり……!』 あんな積極的な絢瀬さんの姿が見れるならまた閉じ込められてみたい…………なんて。

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