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プロローグ
薬剤師を夢見て、某大学の説明会に来たのは良いものの……
「……ここ、どこ?」
絶賛迷子中だったりする。
入口でもらったパンフレットの地図を見ながらきたはずなのに、薬学部の教室が見つからない。
「おっと、危ない」
キョロキョロしながら廊下を歩いていると、段ボール箱を持った白衣の男性とぶつかりそうになってしまった。
「あ……ごめんなさい……」
「大丈夫だよ。君は――中学生?」
「高・校・生・です!」
ちゃんと背が低いだけで、みんな失礼だと思う。
ムスッと唇を尖らせたら、白衣の男性は声を上げて笑った。
「だよね。まさか中学生がこんな所にいる訳ないか」
ますます失礼な言い草に、僕は眉間のシワを深くする。
「ごめん、ごめん。良い物あげるから、そんな顔しないで」
「良い物?」
僕が首を傾げると、白衣の男性は段ボール箱の中をあさり、一本の茶色いビンを取り出した。
「うちの研究会で作っている栄養ドリンク。ちゃんと認可も下りてるから、良かったら飲んで」
「ありがとうございます」
疲れて喉が渇いていたから丁度良い。
なんの疑いもなく蓋を開けた僕は、その栄養ドリンクを一気にあおる。
「甘くて美味しい!」
「それは良かった。もう2本あげるから、友達にもすすめてみて」
「ありがとうございます」
栄養ドリンクをしまった僕は、白衣の男性に案内してもらって、やっと説明会に参加できた。
……もう半分終わってたけど。
* * *
「ただいま~」
「遅い。何をしていたんだ?」
「迷子の案内――って、あれ?」
「どうした?」
「ヤッベ……あげるドリンク間違えた」
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