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第8話
「……そ、……たくん、颯太くん……」
「千尋さん、千尋さん……」
テーマパークの近くのホテルの一室に飛び込んで二人はキスを続けた。唾液が零れて唇がずれるのに何度も何度も重ねた。シャワーを浴びようと手探りでドアを探している手を遮られてそのままベッドへと歩かされる。カーディガンをさっと脱がされ、シャツのボタンを弾くとそれもすぐに剥がされた。枕にしがみつくとすぐに颯太の両手が乳首に絡んでくる。抓まれて身体をよじるとまたキスをされる。不規則な呼吸に気を取られているとジーンズのファスナーに手がかかる。
ぐっと喉が鳴る。初めても、きっと最後まで蒼大にしか許すことのない領域。それを今知り合ってすぐのよく知りもしない男に任せてしまおうとしている。いいのだろうか。蒼大はどう思うだろうか。けれど、淋しい。心が、身体が。下着ごと脱がされるのを腰を浮かせ手伝って覆い被さってくる颯太の熱い身体を抱きしめる。指が秘所をほぐしてきて、千尋は颯太の首筋に顔を埋めた。唇を噛みしめて、けれど身体の力を抜こうと必死になる。颯太はいきなり挿入してくるような乱暴なことはしなかった。長い時間をかけ、ゆっくりとほぐしてからそっと千尋から身体を離した。
「千尋さん……」
トレーナーを脱ぐと若く、引き締まった身体が現れる。全裸になっていくのを息を飲んで見つめる。それに颯太のものが大きく硬く立ち上がっていて千尋は小さく首を振った。
「……無理……」
「大丈夫。時間をかけますから」
次の言葉を待たず、颯太の身体が覆い被さってきた。三年、誰ともこんなことをしていない。颯太は? 突然、それを思うと心がまたちくりと痛んだ。いきなり誘ってこんな流れになってしまったけれど恋人がいたら悪いのではないか。
「颯太くん、あの……!」
颯太の熱いものが体内に入ってくる。ずるずると抜き差ししながらゆっくりと言った通り、時間をかけてすべては納まった。言葉も忘れて呼吸を止めていると颯太の優しい言葉が降ってきた。
「千尋さん。呼吸、して。なじむまで動かないから」
「……ん、いいから、」
「千尋さん?」
「めちゃくちゃにして……。何も考えられないように」
「……千尋さん、俺、」
「早く!」
千尋の方から腰を蠢かす。釣られて颯太は動いた。手を組み合わせ、唇を合わせながら二人は動く。言い訳はもうない。ただ今だけ颯太と抱き合いたい。ただ一度だけ。
──蒼大さん、許して……。
「外に出すよ」
「いいから」
「千尋さん」
「中に出して」
思わず声を荒げる。颯太はもう何も言わず何度か激しく動くと千尋の中へと熱いものを放った。気持ちがいい。もう何も考えられない。そう思った瞬間、千尋は意識を手放していた。
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