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大好きのシルシ(手塚×不二)

 ふわり、甘くて温かい空気と、後ろから強く抱き締める腕の強さが体を包んだ。 「誕生日、おめでとう」  振り向くまでもない。好きな人の、声。 「……ありがとう、手塚」  4年に1度しかなくても、きちんと誕生日は存在する。それを教えてくれたのは紛れもない彼自身。 「やはり、今日は家族で過ごすのか?」 「ううん、母さんや姉さんには無茶を言ったけど、キミと過ごすよ。僕だって、キミと一緒にいたいもの」  そう言えば、普段あまり変わらない表情が柔らかくなる。これも後から知った。微妙に口角が上がる、手塚の熱っぽい視線。 「明日までがお前の誕生日だからな」  頭を撫でる暖かくて大きな彼の手のひらに、愛されてるシルシを感じるんだ。 END 不二誕2011

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