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オータムシュプール(手塚×不二)
台風一過の合間。ジリジリと焼けつく様な暑さから一転、冷え込みの激しくなった夜に、彼は訪れた。
「ごめんね、夜遅くに」
「……不二」
「やっぱり、昼だけじゃ我慢出来なくて」
ハァ、と寒そうな息を吐き出して、目を丸くする手塚の前で不二は笑みを浮かべた。
「とりあえず中に入れ。冷えるぞ」
「うん」
部屋に通されベッドに腰掛けると、やはり手塚の眉間にシワが寄る。
「全くお前は……」
「だから言ったじゃないか、昼だけじゃ満足しないの。ちゃんと、個人でお祝いしたかったんだよ」
今日は、年に一度の大切な日。不二は手塚の体を引き寄せ、そっと口付けた。
「誕生日おめでとう、手塚」
窓の外では、オレンジ色の落ち葉たちが風に舞っていた。
END
手塚誕2011。
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