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新しい季節(手塚×不二)
※10年後捏造注意!
別に、特に将来の事にこだわりはなかった。
テニスは好きだけど、これで生計を立てる予定もなかった。カメラも好きだったけど、まさかこれが仕事になるとも思わなかった。
「終わったか?」
「……手塚」
シャワー上がりの、タオル一枚巻いただけの格好で声を掛けた手塚は、不二の手元を後ろから覗き込んだ。
「良く撮れてるな」
「そう?」
「俺は、カメラは素人だが、月刊プロテニスの取材班が撮るより好きだ」
「……ありがとう」
不二が持っていたのは、現像したばかりの写真だった。かすかに現像液の臭いが残るそれには、試合中の手塚が写っている。
「でも、これは没。井上さんにも他の雑誌社にも渡さないよ」
「そうなのか」
「うん」
写真を机に置くと、不二は立ち上がって手塚に抱きついた。
「そんなことよりさ、手塚」
ゴーン、と重い音が聞こえた。時計の針が重なった事に気付いて、二人で視線を絡める。自然に唇が重なり、深い口付けを交わした。
「誕生日おめでとう、手塚」
「ありがとう」
「明日……じゃなかった、今日はオフで間違いないんだよね?」
「あぁ、スタッフ全員に、一日何も予定を入れるなと伝えてある」
「ふふ、君らしくないって思われそうだね」
「言わせておけばいいさ」
手塚が不二の身体を抱えた。大人になって、体つきまで鍛えられた手塚の肘は、不二を姫抱きすることも容易く出来た。離れるのが嫌だからと決めたキングサイズのベッドに、優しく下ろす。
「本当に、いいんだな?」
「今更何を。お誕生日さまだろ?しっかり食べてよ」
「あぁ……ありがとう」
新しい二人の季節が、始まろうとしていた。
End
手塚誕2016。
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