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★たまには獣のように(手塚×不二)

「ちょ、待って手塚……っ」  その日の部活が終わった午後7時。大石に部の仕事全てを押し付けて、手塚は不二を自分の部屋まで連れ帰った。あまりの事に戸惑いながら手塚に引かれるのと反対の手で携帯電話を握りしめ息も絶え絶えに家に電話をしたのだが、受話器を取った姉や母親、更に外泊許可を貰ってきた弟はどんな顔で食卓についているだろうと不安を抱いた。 「手塚くんの家なら大丈夫ね」と姉は言った。後ろで弟の怒鳴り声は聞こえたが、女たちには叶わない彼は渋々折れたに違いない。 「手塚、あのさ……っ」 「すまん、我慢出来ない」 「え、まさか本当に……んんっ」  手塚家の門をくぐった時、1階のリビングにはお母さんやお祖父さんもいたはずだ。あの手塚が大切なテニスバッグを雑に床へ落としてまで熱を求めていても、階下が気になってしまう。 「ん……っふぅ、」  ベッドに押し倒されて痛いほどに体を押さえ付けられた。けれども、少し乾いた手塚の唇の隙間から舌が滑り込むと、不二も自分の舌を絡めて受け入れた。 「っは……」  学ランの前がはだけた。シャツのボタンも危うく千切れそうだった。久々に余裕のない手塚からされるがままに、不二も手塚のボタンを外す。その様子を視界の端に捕らえ、手塚の唇が僅かに弧を描いた。  寒さなのか感じ始めたのか、少し主張を始めた二つの突起に舌を這わせれば、不二の腰が僅かに浮いた。それに気を良くして転がしたり、甘噛みしたり、手塚はしつこく愛撫した。 「……手塚」  落ち着きなくカチャカチャとベルトを外す音がやけに大きく聞こえる。二人分の下着が下ろされると、手塚は自分と不二の分身を一緒に握り、擦り起こした。 「っあ、」 「いいか?」 「ん……気持ち、いい……」  グチュグチュと二人の先走りが手塚の手を濡らす。質量が増えた所で、手塚は濡れた指を不二の後孔に添えた。人差し指1本で、不二の眉が寄る。 「んんっ」 「大丈夫か?」 「いいから……早く……っ」 「ああ……」  すぐに2本目が埋められる。強張る不二の体を和らげようと、手塚は再び唇を重ねた。呼吸を促し、解された内部を拡げ、屹立した自身を宛がった。  そこから、不二の記憶は白く飛んだ。手塚の腕も不二の体も気遣った様子のない獣のような交わりだった。時間も場所も忘れて、ただひたすら貪った。  全てが終わってからようやく、きつくきつく不二の体を抱き締め「すまない」と発した手塚に、不二は深いため息を吐くしか出来なかった。 「一番に祝いたくて、しかしどうしていいかわからなかったんだ……すまなかった」 「……もういいよ」  たまにはいいか、なんて思ってしまった自分も同類だと不二は内心でこっそり苦笑した。 END 不二誕2016。これだけ1000字超えてました(笑)

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