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あいつと似てないけどそっくりなこいつ。(謙也×跡部)

 ある日の氷帝学園。その日、大阪の四天宝寺が合同練習にやってきた。……もとい、遊びに来たつもりかも知れない。 「うっわー、ごっつ広いなー! なー白石ぃーっ」 「金ちゃん、大人しぃせなあかんで?」  校舎を前に、ただ感嘆するレギュラー達。 「よぉ、やっとおでましか」  そこへ、跡部と忍足(侑士の方)がやってくる。 「わざわざスマンなぁ、部長さん自ら出向いてもろて」 「いや、構わない……こっちだ」  白石と跡部が握手を交すと、一同はコートに向かって歩き出した。 「にしても、侑士クン久しぶりやねー」 「そやな、小学校以来か?」 「一緒におったんって、道頓堀小学校で半年だけやったもんな」 「今は落ち着いたん?」 「まぁ、とりあえず3年おれたしなぁ」  忍足(侑士の方)との久々な再会に皆が思い出話に浸る姿に、跡部は自分の知らない彼を見た気がした。 「おい、忍足」 『ん?』  跡部の呼び掛けに、二つの声が重なった。侑士と謙也が同時に跡部の目を捕える。 「あ、わりい……侑士の方」 「ああ、何?」  跡部は謙也に手を上げて謝ると、侑士に手招きした。 「レギュラー全員を一番上のコートに集めてくれ。ジローがもしかしたらまたどっかで寝てるかも知れないから、樺地にでも頼んで探してくれ」 「しゃあないなぁ……了解」  侑士は跡部の肩を叩いて苦笑すると、校舎に向きを変えて走り出した。 ※※※ 「あー……っと、忍足謙也、」  紅白ラリー中、ふと跡部は謙也を呼んだ。白石に『少し借りる』とだけ告げ、ベンチに座らせた。 「なん?」 「いや、……相手変えずにずっとあのスピードで疲れてないか?」 「あー別に」 「そう、か……さっきは悪かったな」 「え?」 「おし……侑士と間違えて」 「いや、普段あいつといるんやし、しゃーないわ」  ふ、と跡部は破顔した。 「そうか……似て、ないな」 「へ?」  目を丸くする謙也。 「侑士と。あんまり似てないな」 「……兄弟でも双子でもないし」 「従兄弟で似すぎるのも気味が悪いってか?」 「いや、別にそんな、」 「分かってる……ただ、あいつの親戚に会うのが初めてだったから、つい凝視しちまった」 「……」  謙也は返す言葉を失ってしまった。目の前にいるカリスマは、こんなにも人を見ていたのか、と思った。 「これからも……宜しくしたってや」  それ位しか、言えなかった。 「ああ」  それでも、跡部は極上の笑みを返したのだった。 END 謙也のキャラ崩壊。

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