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次こそは、(日吉×向日)

「はぁ……はぁ……」  このままじゃ、だめだ。岳人はひたすらラケットを手に走っていた。否、跳んでいた。  侑士に迷惑かけた。自分の体力不足で、後半ほとんど動けなくなって、侑士一人で戦ってた。  みんなにも、迷惑かけた。  もっと、強くなりたい。 「何してるんですか、向日先輩」 「……日吉」 「もう日が暮れますよ」 「わかってる」  ムーンサルトをしながらの壁打ちに、はぁ、と日吉はため息をついた。 「先輩、手伝いましょうか」 「……え?」 「ムーンサルトの壁打ちなんかより、俺と打ってた方が効率いいと思いますけど。それに……」  その場で制服からユニフォームに着替えて、日吉はラケットを取り出してコートに入った。 「監督によれば、全国で忍足先輩はシングルスにさせるとか……多分、俺と向日先輩がダブルスです」  少しでも球威に慣れていたほうがいい、と日吉は呟いた。 「そーゆーことか」  岳人も納得して、コートに入る。 「よし、絶対勝とうな、日吉!」 「勿論です。奴等に借りを返しましょう」  その後、日付が変わるギリギリまで、二人はボールを追いかけた。 END

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