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ありがとうの気持ち(手塚×跡部)
※手塚←跡部
手塚の部屋。静まりかえった室内。
「……」
「……」
手塚は本を手に椅子に座ったまま。一方、話があると言って訪れた跡部はどうしていいか分からずベッドを背もたれにソワソワしていた。
「本題はまだか?」
「っ!!」
「話があるんだろう?」
本からこちらに視線を戻して告げた手塚に、跡部は姿勢を正してその目を合わせた。
「その……お前の腕の事なんだけど…」
「ああ、これか」
フ、と小さく嘲笑を浮かべ、手塚はサポーターで支えられた左肘に右手を宛てた。
「どうってことない」
「しかし……」
「なんだ、今更後悔か?」
「え……?」
手塚は本を机の上に置くと、跡部の前に座った。
「オレは、感謝してる。お前と、真っ向からやり合えた事」
「しかし、あれは……あの時のオレはどうかしていた」
腕を壊そうとしていた事。
「それでも、お前が真正面から来てくれた事は嬉しい」
「目が覚めたんだ、途中で。こんなことして勝ちたくねぇって思った」
「跡部、」
そっと、後悔の念に縛られたその体を抱き締めた。
「ありがとう」
自分が言わなければいけなかった言葉が、心に染み込んだ。
END
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