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8.現在

「変わんないよな、ここは。 おまえがそんな格好してるとなおさら」 「えっ」 武原の声に我に返る。 ふーっ、苦笑いの口から吐き出される、細く長い煙。 ……再会は偶然だった。 たまたま行った学会、そこで武原が発表していた。 「お久しぶりです」 「おー、青木か」 声をかけると、振り返った武原はニヤリと笑った。 ふたりで飲みに行き、近状を報告する。 武原に影響されて生物教師になったことを告げると、あの頃のように面白がっていた。 笑う武原は六年前よりも白髪が目立つようになっていたが、あまり変わりがないように見える。 そして知ったのは、また、いま僕が勤めてる高校で働くこと。 「そういやおまえは吸わないのか? あのとき、興味持ってただろ」 「そうですね……」 武原の口から煙草を奪い、強引に唇を重ねた。 離れると、武原を真似て片頬でニヤリと笑ってみせる。 「僕はこっちの方がいいです」 【終】

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