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41 アプローチ
純平君に告白をされ、そして俺がカミングアウトをしてから、ほぼ毎日のようにメッセージが届くようになった。
朝の「おはようございます」の挨拶から始まり、昼間あった出来事なんかを一方的に送ってくる。今まで人にこんなにメールを貰ったことなどなかったから、正直どう返事をしたらいいのか困ってしまう。
だってさ……だから何? という内容に俺はどう返信したらいいんだよ。最近の若い奴らはみんなこうなのかな? そんな風に思ってしまい頭が痛かった。もちろんメッセージのやり取りだけじゃなく、店に顔を出す頻度もぐっと上がった。
今日も楽しそうに友達と一緒にご来店。
初めの頃と違い騒ぐ事もなくみんな静かに会話をしながら飲んでいる。カウンターの中から純平君のいるテーブル席を眺めていると、元揮君が顔を出した。
「悠さん、最近楽しそうですね。いい事ありました?」
「別に。まぁ、最近純平君がよく来てくれるし、今日なんかは友達連れてきてくれて売り上げ貢献してくれるから楽しいかな」
俺は素直に元揮君にそう話す。元揮君はグラスを拭きながら、そんな俺の顔を見つめて「それに敦さんも最近来てませんもんね」とクスリと笑った。
そうなんだ。最近また敦が店に来なくなった。どうしたんだろう。仕事が忙しいのかな? また前みたいにずっと来なくなってしまうのだろうか……本当に気まぐれなんだな。
「悠さん、烏龍茶ください」
突然カウンターに来た純平君が俺に注文する。ぼんやりしていてちょっと驚いてしまった。
「あ、はい……どうぞ」
烏龍茶を出してあげるも、純平君はその場から動かずにそのままそこへ座ってしまった。
「みんなのところに戻らなくていいの?」
「だって悠さんとも話したいから……」
上目遣いで俺を見る。少しわざとらしくも見えるその仕草は間違いなく俺に対してのアプローチだった。
「悠さんなに考えてたんですか? ぼんやりしてましたよ」
「いや、別に……最近純平君がよく来るなぁって思ってたとこ」
そう言って笑うと、純平君が俺の手を握った。
「俺の事考えてくれてたの? 嬉しいです」
「また、手! なに? 離して」
俺の横で元揮君がクスクスと笑ってる。
「純平君、積極的だね 」
元揮君は小さな声でそう言うと、気を利かせたのか別のテーブルへ行ってしまった。
「ねえ悠さん、また俺とデートしてください」
手は振りほどいたものの、純平君の力強い眼差しから俺はなんとなく逃げられないでいた。
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