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蝕む

 夢のなかはいつも静か。 静かな中に気泡のような風船がこぽり、こぽり、と浮かんでいけば弾ける瞬間に聲がする。 『……が、……』 『……が、……よ』 聞こえないくらい小さな聲が弾けて消えてまた静かな世界が戻ってくる。 いつしか覚えた名前は起きれば忘れている。 泡沫のような悪夢は知らない間に蝕んでいった。

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