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考察(始)
子どもとの顔合わせと親からの聞き取りを終え、帰路につく。陽射しが強くなり始める季節の夕方は木々のや鳥の音がどこまでも聞こえてくる。
「……で、どうだったよ」
入り込む夕焼け色を睨みながらハンドルを撫でる北洛は古坐魅に問いかけた。
「そうだねぇ。まだ会ったばかりだからなんとも言いがたいけど……。とても躾の行き届いた子どもらしい子ども、という印象かな。司紋くんはどう思った?」
「……その「子どもらしい子ども」と一緒かはわからないが、親の言い付けをうまく仮面にしていると思ったな」
飴色の瞳が真っ直ぐ前を見ながら答える。造形の整った顔だなぁ。と思いながら古坐魅は微笑んで「そうだな」と応えた。
「今回の子どもは特に入り込むのが難しそうだから、お願いしたんだ」
大人を「大人」と理解している。大人は子どもを使うのだと、知っているように感じた。
「よく言うぜ、あんたはいつの間にか気がつけば心に入り込むのが得意だろう?」
ニヒルに笑う北洛になにをいっているのかわからない。とはぐらかす様に微笑んだ。
「司紋くんの方が、心を掴むのはうまいよ」
朗らかに笑う古坐魅の横顔を染める朱に苦虫を噛み締めた。
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