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第3話

「…………」  雪人は首を傾げたまま少年を凝視する。 「おまえ、もしかしてクスリとかやってる?」 「そんなもん、やってねーよ。……まあ別に俺の正体について信じてもらわなくても構わねーけど」  少年は鼻で笑う。つくづく生意気な少年である。 「……あんまり大人をバカにするんじゃねぇぞ。とにかく早く大人を呼んで来い」 「だからそんなのいないって言ってるだろ。……まあ、いいや。これが普通の乗り物じゃない証拠を特別に見せてやるよ」  そう告げると、さっきまで座っていた椅子に再び腰かけるように促される。 「……あんた、なんて名前?」 「…………本町(ほんまち)雪人」  雪人が答えると、少年は複雑な機器を細い指で器用に操ってから、ゆっくりと言葉を放つ。 「こいつを元いた場所へ帰してやって」  次の瞬間、体が背もたれに強く押し付けられるのを感じ、目の前が暗くなった。 「雪人くん!? いったいどこへ行ってたの!?」  気づけば雪人はキャンプ場へ戻って来ていた。 「そうよー。ちょっと散策してくるって行ったきり中々戻ってこないんだもん。あたし、すごく心配したんだからー」 「本当にどこ行ってたんだ? 雪人。スマホも通じないし、マジ遭難したんじゃないかって焦ったぞ」  大学の友人たちが次々と傍に集まって来る中、雪人は茫然としていた。 「……俺、どれくらいの間いなかった?」 「うーん。三十分くらいかな。ったく、おまえがいないと女の子たちが盛り下がって散々だったんだからな」 「さあ、雪人も戻って来たことだし、まだまだ飲むぞー」 「わーい。飲もう、飲もう。雪人くん」  女の子たちに取り囲まれながら、雪人は小さく呟いた。 「マジかよ……」  鈍く光るUFO。真紅の髪と瞳の美少年。  あれは現実だったのか?

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