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第2話

 少年が幻覚だとは思えず、雪人はこのUFOは映画かドラマのセットだと思い直した。  普段、あまりテレビは見ないほうなので、自分が知らないだけで、この少年は多分今売れているアイドルか俳優なのだろう。  紅い髪は染めたもので、紅い瞳はカラーコンタクトと言ったところか。 「おい、聞いてるのかよ?」  少年の口調がどんどん苛々してくる。 「……悪い。道に迷ってしまって」 「とにかく、そこは俺の席だからどけよ」  雪人は少年の口の悪さに眉を顰めた。  勝手に中に入ったのは雪人が悪いが、それにしても生意気な態度だ。  人気があるからチヤホヤされて、いい気になっているのかもしれない。 「悪かったな」  少々ムッとしながら雪人は椅子から立ち上がった。  雪人は身長が180センチだ。それより10センチは低い少年を見下ろすようにして、鋭くにらみつけてやる。 「とにかく誰か大人を呼んでくれ。おまえじゃ話にならない」  偉そうな態度には、こちらも偉そうな態度で返すだけだ。  芸能界のことなどよく知らないが、映画かドラマの撮影なら、監督なりプロデューサーなりの大人がいるはずである。その人たちに会い、今自分がどの辺りにいるのか教えてもらおうと雪人は思ったのだ。  だが、目の前で精いっぱい上を向いて睨み返してくる少年は言う。 「他には誰もいねーよ。これは俺の……UFOだ」 「はあ?」  雪人は思わず首を傾げた。 「だから、俺はあんたら地球人から見たらエイリアン……異星人なんだよ」
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