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天子が二人の方を向いて
天子「兄さん、牧田さん、とても煩いです。二人で暴れたいなら何処かホテルでも行ってきてください。あ、丁度良いじゃないですか、二人とも同じホテルで働いているのでしょう? まあ兄は社長ですが細かいことは気にせずに、どうぞ行ってきてください。あ、働いてきても良いですよ? 稼いで、どうか私を養ってください」
クールな表情は崩さない天子。
智之の心の声「天子さん、なんて薄情な……」
寛也「天子がそう言うなら、じゃあ行くか」
智之の腕を掴む寛也。
智之「いや、行きませんよ!?」
ググっと身を引き、なんとか引き摺られないように堪える智之。
寛也「んだよ? 俺の嫁だろ? 頑張れよ」
智之「いや、だから、僕は天子さんの夫です!」
寛也「じゃあ、天子(と俺)のために行こうぜ」
片手で智之の腕を掴んだまま後ろの天子を親指で差す。
寛也、ニヤニヤと笑っている。
智之「今、なんか変な間ありませんでした!? 行きませんよ!? だから、行きませ――」
智之、寛也の腕が身体に回りそのまま玄関に引き摺られて行く。
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