23 / 23
【9】-4
「一緒に、頑張ろう」
狭いベッドに腰かけて、ルイの広い背中を抱きしめた。
かけたばかりの眼鏡をルイが外し、身に着けたばかりの服を乱し始めた。キスをして、もう一度ベッドに倒れて抱き合った。
覚えたての蜜を味わう。金色の髪の美しい王子に四肢を絡め、甘い声を上げた。
夜が明ける頃、雨が止んだ。
ルイはカエルに戻らなかった。世にも美しい人の姿のまま、金色の睫毛を伏せて穏やかな寝息を立てていた。
カーテンを開けると、梅雨の終わりを思わせる晴れやかな空が広がっていた。
「ルイ。愛してるよ」
もう呪いは解けたけれど、何度でも伝えたい言葉だ。
長い睫毛の下から青い瞳を覗かせたルイが、明るい日差しの中で眩しそうに微笑んだ。
-了-
最後までお読みいただきありがとうございました。
店長さんに名前くらい付けてあげたらよかったです。ごめんなさい、と心で謝ってます。
不憫だわ……。
2019年7月14日完結
2020年12月11日改稿
ともだちにシェアしよう!