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第1話

-あの日。 優紀を抱えて和巳の部屋を飛び出した後、とりあえずあの場所、あの地域から離れなければと…彼等から逃れる為に…そう思って必死に逃げた。 場所を転々と移し、今まで住んでいた場所より遠くへと―。 和巳の部屋を飛び出した日に、お金は全て銀行から引き下ろしていた。 結構な金額があるとはいえ、無駄遣いはできない。 お金が無くなっても、両親や友人に連絡するわけにはいかないから。 そんな事をすれば、すぐ兄貴に居場所が知られる事になる。 …働くしかない。 しかし、今までまともに働いた事もない俺が…オマケに短期間で(すぐに別の場所へと移動しなければいけないから)…となると…内容は限られてくる。 しかし。 そうなると。 今度は、優紀が問題になってくる。 …大人しく俺の帰りを待っていてくれるようなら、問題はない。 だが。 俺の隙をみては、逃げ出そうとする。 俺がいくら説明や説得をしても、無駄。 こんな事は初めてで…。 優紀が、俺に逆らうなんて。 だから。 俺が仕事をしている間、泊まっているビジネスホテルの部屋のベッドに優紀を縛り付け、部屋から出る事ができないようにしていた。 それなのに―。
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