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第23話

「…僕は…眞司が初恋だったんだ…何もかも…眞司が初めてだったし、眞司が僕の全てだった…眞司の為なら何でもしたよ…眞司の言う通り…だから、もう、いいだろう…?…もう…放っておいて…お願い…このまま…黙って、帰って…」 ―俺の思う通りって…じゃあ…優紀は知っていたのか…。 優紀と出会った当初、俺の代わりに優紀を兄貴に差し出そうと俺が考えていた事…。 「…俺は……」 言葉が出ない。 何て言ったらいいのか、分からない。 今更ながら後悔が押し寄せて…。 だが。 後悔したところで過去は消せない。 やり直したいと思っても、過去はやり直す事はできない。 分かってはいるが…できる事なら、優紀と出会った頃に戻ってもう一度…。 ………いや。 まだ、遅くはないはずだ。 ここから出たら…。 二人で。 一緒に。 そしたら。 もう一度…。 「…もう…いいから…」 優紀の声が、俺の思考を遮る。

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