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第34話
-実をいうと、それからの事はあまりよく覚えていない。
倒れている雅紀の側に、割れた花瓶。
女性の悲鳴が聞こえて。
周りを見回すと、数人の人々が驚いたような顔をしていて。
でも、誰も近づいてこなくて。
俺達を遠巻きにして見ていて。
優紀を抱いている俺が歩くと、その先にいた人々が道を空ける。
俺はそのまま、マンションを出て表の道に飛び出す。
そこでも、悲鳴が上がる。
道を歩いていた人達が立ち止まり、俺達を驚いたように見詰める。
俺はマンションの前で路上駐車している車に乗り込もうとしてこちらを見詰めたまま、立ち尽くしている男性を見付けた。
口を開けて俺-正確には俺の腕の中にいる優紀を見詰めている男性に走って近付く。
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