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Ⅲ 透明よりも切ない虹①
「簡単な検査だよ」
昼間のカフェには不釣り合いな分厚い本のページを指がめくった。
「色覚の検査だ」
今から私の指差す色を答えてほしい。
「これは?」
「緑」
「じゃあ、これは?」
「青」
「この色は?」
「水色」
「これは」
「ピンク」
色覚の検査が進行する。
「これで最後だよ」
トンっ
指先が色の円を示した。
「何色だい?」
「黒……灰色かな」
「やっぱりね」
この色は、見る者を選ぶ。
資格のある者にしか見えない色なんだよ。
この色の名は、虹
αには、赤に
Ωには、紫に見える。
灰色に見えた君は………
「βだね」
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