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入学(3)

ネヴィルの実家は都市部のはずれの農家で父の代からの成り上がり その父が息子を憧れの騎士学院にねじ込んだのだと自笑した 「フェルは?」 と聞かれて咄嗟に同じようなものだと答えた 二人が食事をしているのは寮の食事棟の一画の10人が座れるほどの長テーブルの端っこ 今日のメニューは前菜、スープに肉のメインディッシュにパンとデザートがトレーに乗っている 中等部の1~3年の300人ほどが一度に食事するとあってものすごい混雑だ その大広間の真ん中に中2階のようになっている豪華なゾーンがあり あそこは大貴族の子弟のみが使用できるのだそうだ そこからはこの食事棟が一望でき料理もフルコースで1品づつ提供される 「さすが俺ら庶民とは違うよな~」と感心しきりのネヴィル 2階からパンをちぎりながらつまらなそうに下界を見下ろすのは 中等部生徒会長でありヴィリアーズ王家 第3王子 ジュリアス 「今年の雛共はひときわうるさいな」 めんどくさそうに横にいる副会長 アークライトにつぶやく 「2年前って俺たちもあんなにも幼かったのかな?」 とアークライトはグラスに水を注ぐ給仕に微笑みながら問う ガシャーンッ!! 突然 1階席の片隅で大きな音がなり怒号が上がった この場にいた全員の視線が音の先に集まるとそこにはフェルをかばうように立つネヴィルと 上級生だろうかそれを囲む数人の体の大きな生徒がいた 「こいつに触らないでください ちゃんと食べてますから」 端っこの席で震えるフェルを背に、ネヴィルは両手を広げ守るようにしながら自分より大きな生徒に毅然と言い放つ 「そんな小さい1年生見たことないぞ?初等部と間違ってんじゃねーの?」 ニヤニヤとポケットに手を突っ込みながら近づく生徒 「あれは…デレック・フルードか」 アークライトはつぶやく やれやれまたか と肩をすくめるジュリアス デレックは何かと問題を起こす生徒としてブラックリストにもあがっている貴族の子弟だ 手下を数人従えて新入生狩りと称して一般生徒席を練り歩いているとフェルに目を止め 「子供が一人混じってねぇ?」と絡みだした 「どんだけ小さいんだよお前 何歳だ?残さず食えるのか?」ケラケラと仲間とはやしたてる 11歳の初等部1年生はだいたい150~160cmくらい 成長の早い生徒なら170cmほどもいる中で 140cmあるかないかくらいのフェルは格好のイジリ対象だった 食わせてやるよとフェルのパンを掴み口元に運ぼうとした瞬間、ネヴィルが割って入った

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