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天使の歌 (1)

「いそがないと おくれるぞっ!」 朝食を終え、寮の玄関を出て校舎棟の方に向かって 前を走るネヴィルに遅れまいと懸命に走る 朝のミサのために制服の上から真っ白なローブを羽織っているので走りにくい 校舎棟と寮棟の間にある薔薇庭園を抜けた頃 右手に巨大な大聖堂(カテドラル)が現れた 建国の数十年後に建築された大聖堂(カテドラル)は王宮へと続く道の途中にあり 数百年の年月の重みを感じられる様式で凝った彫刻と円柱の柱が特徴で 窓の全てに神話をモチーフとしたステンドグラスがはめこまれていて 圧倒される神聖さに包まれていた 今朝は中等部のミサの日 重厚な入り口の扉を抜け中に入りチラと後ろを振り返ると 息を切らせながらもフェルはちゃんとついてきていた 「間に合ったな!」 ニカッといつもの人懐こい笑みを向けながらはぁはぁと息を乱しながら 1番後ろの長椅子に座り、横に座れと端を指差す 他の人が隣に来ないように気遣ってくれるのを感謝しながら腰を下ろす 一息ついて中を見回すと 天井はとてつもなく高く、凝った彫刻の円柱形の柱が何本もそびえ立つ フェルたちの座る長椅子が無数に設置されていて、中等部の生徒たちが思い思いの席に着く 外からの光がステンドグラスを通し室内にキラキラと反射する   「ここになら神様はいらっしゃるかな…」消え入るような声で呟く 「あったりまえだろ?!大聖堂(カテドラル)だぞ?」 「そうなの?」 「おまえ教会に行ったことないのか?」 驚くネヴィルが言葉を続けようとした時 天井から降り注ぐかのような聖歌が聞こえてきた いつの間にか入り口も閉ざされ 左右の翼廊から数人の少年たちが聖火を灯した燭台を手に 生徒たちが座る長椅子の真ん中を聖歌を歌い上げながら進む 天井から降り注ぐ煌めく光と天使の歌声 ♪~天使たちが歌う光と緑の子守唄~♪ 厳かに進む列を見ながらもフェルの意識は一気に過去へと飛んだ

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