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天使の歌 (2)
♪~ 天高く舞い上がる翼 ~♪
♪~ 紡がれる永遠の物語 ~♪
♪~ 愛してるの言葉 伝えたいこの想い ~♪
♪~ 天使の歌声が照らす道標 ~♪
♪~ 幸せにしたいと思える存在を探して ~♪
深い森の丘の上
光が降り注ぐ中歌い上げるのは本物の天使
背中から煌めく翼がゆらめき小さな両手を上げ
歌い上げるのをみて感動に胸がいっぱいになるジェイ
「うまく歌えた?間違ってなかった??」
クルクルと光により色を変えるオッドアイで見上げてくる天使は
ジェイに教えてもらった聖歌をとても気に入って毎日歌っていた
♪~ 天使たちが歌う光と緑の子守唄 ~♪
地面の小さな花をなでながら、鼻歌のようにフンフンと続けて歌うアンジュ
(天使は君のほうだ・・・)うっとりと見つめながら一緒に歌う
狭い世界に閉じ込められている子供は
砂漠が水を吸収するがごとく教えることをなんでも覚えていった
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♪~ 永遠に側にいて ~♪
♪~ あなたを守る翼を持っている ~♪
「フェルッ!!」
慌てたような叫ぶのを抑えた咎めるようなネヴィルの声に
夢見心地でいつの間にか声を上げ歌い上げてしまっていた事に気づいた
(しまった…)
もう遅かった
大聖堂 中の人々の視線を一身に浴びたフェルは
ミサ終わりに神父さまにこってりとしかられた
一人残されていたフェルは1時間目の授業に遅れていた
大聖堂 から必死で走り
校舎棟の正門入口にさしかかったところで
「そこのキミ」と呼び止められた
校門の横の緑廊 に佇む人影
肩まで伸びたふわふわの栗色にピンクメッシュの髪
美少女のような顔をしたその子は確かさっきの聖歌隊の真ん中にいた…
「さっきのアレは何?」
大きな茶色い瞳を見開き少女のような声で問う
(さっきのアレって…ボクが歌の邪魔しちゃったこと…だよね)
「ってかおまえ誰?」
美少女のような容姿なのに口が悪い少年は腕を組み超然とフェルを見下ろす
フェルは緑廊 の方に進み
フェルの立つ場所より数段上にいるその人に
「さっきはごめんなさい…気づいたら歌っちゃってました」
申し訳なさそうにうつむきながら答え
「中等部より入学しましたフェル・ドゥマンとい…
パシィインーーー!!
言い終えないうちに右頬を平手打ちされていた
「気づいたら歌っちゃってました…?!」
怒気を孕んだその言葉を言い終えると再び
パシィインーーー!!
次は左頬を平手打ちされた
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