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新生活 (4)
生徒会室から校門前の緑廊 を見下ろす
キラキラと光りを反射する美しいまっすぐな金髪が
たくさんの友達と楽しそうに会話している
「おーい いい加減 書類を仕上げてくれないかな~」
山積みの書類をトントンと指さしながら銀髪の親友が言う
「おーい もしもーし…」
返事がない
窓の外を見つめるいつもは無表情な黒髪の親友の目が
笑っているように見えた
窓を閉めジュリアスの視線を切る
不満げに親友を見上げるジュリアス
「見ていたいのはわかるがこれ今日中に仕上げなきゃだから」
と申し訳なさそうに書類を目の前に差し出す
あきらめ書類に向き合ったジュリアス
「心配なかったな」
「ああ」
カリカリカリ
書類をどんどん処理するアークライトがふと親友を見ると
また窓の外を見ていた
「そんなに気になる?」
「……」
「きれーな子だもんな」
「……」
「……アンジュ だから…」
「だいじょうぶだよ 守ってるから」
「……うん」
カリカリカリ
Petit frèreが何かわからなかったフェルはネヴィルに尋ねた
「どこでそんな言葉覚えてきたんだ」
腕を組みメッと叱るネヴィル
「Petit frèreってだめなことなの?お守りでしょ?」
「お守り~?!」
「違うの?」
「うーん…」
頭を抱えたネヴィルは
「守られてるっちゃー守られてんのかな~うーん
ていそうが危ない気もするがな~う~ん…」
とわけのわからないことを言っていた
銀色の副会長に言われた
「水曜の放課後 週に1回ここでおしゃべりしよう」
それがPetit frèreらしい
本当ならばブローチを制服のシャツの襟につけるらしいのだが
Petit frèreになったことが
なぜだか恥ずかしく誰にも話せずいた
なのでブローチはいつも胸ポケットに忍ばせていた
その週にあったこと
ネヴィルのこと
友達のこと
たわいない話を微笑みながら聞いてくれる背の高い銀髪の麗人
楽しい時間だが緊張もする
そして同じ室内になぜか必ず
長身黒髪の美貌の王子もいた
(生徒会長のお仕事いっぱいなのかしら…)
そんな時に呑気におしゃべりしてて邪魔じゃないのかと心配になってしまう
ふと目が合う
そらされる
ズキン…
(あのジェイじゃない…のかなぁ…)
最初の日顔を見たのに
ボクに気づかないみたいだし…
黒髪の人っていっぱいいるもんね
ジェイを見つめ悲しそうに俯くフェル
それを見るアークライトは胸中複雑だった
アークライトのPetit frèreと公言してもいいのだが
やはり男色家の烙印を押されるのは躊躇する
たまたまフェルの仲間の8人の中にアークライトの弟の乳兄弟がいた
ちょうどいいとフェルの身に危険が及ばないか監視役につけている
もしもいつかあの顔が晒されたら狼どもにあっという間に食われかねない
それに……
真面目に仕事をこなしだした黒髪の親友を見つめる
(こいつがどうしたいのかだよな)
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