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好きの種類 (4)

「紳士じゃなかった 本当にごめんね」 そういってアーク様はボクをソファに座り直させ 頭をポンポンと撫でてくれた キスされてビックリしたが 舌を差し込まれそうになって急に昔の光景がフラッシュバックした 『「昼のようなキスをお前からオレにしろ」』 あの時の怖さが蘇り アーク様を拒絶してしまったことが 申し訳なく涙が止まらない 「っ…ぅぐ…ごめ…さぃ…ぅっ…」 ボクなんかをPetit frèreにして守ってくれて デレックからも助けてくれたのに キスすらまともに出来ないこんな出来損ないのボクを… 「ごめな…さい ボク…もぅ…」 「ん?」 「ボクもう…Petit frèreでなくていいです…」 「どうして? キスがいやだから?」 「…ちが…っ」 「ボクは…出来ないっ…から」 両手を目にあてあふれる涙を押さえるように呟く 「Petit frèreやめたいの…?」 アーク様が悲しそうな顔をしている 「オレのこと好きじゃない?」 シャラリと銀色の髪をなびかせ美しい人が問う 好き… 優しいアーク様が大好きだ 「好き…です」 ホッとした顔をするアーク様 そんな顔しないでください 身分も高く美しく誰からも尊敬されている あなたのような人がボクなんかにそんなに気を使う必要なんてないのに… そう思うと涙があふれて言葉にならない 肩を抱き寄せられ髪を撫でられる 「ごめんね…急ぎすぎた  フェルが可愛くて…我慢できなかった」 手をギュッと握られる だんだんと体の震えも収まってきた 握られた手が熱く心臓がドキドキする 「接触恐怖症だったのに今じゃこんなにも触れられるすごい進歩だよね」 「フェルはがんばってるね いい子だ…」 優しい優しい手がボクの頭を撫でてくれる 「ぅ…うぇええーーん」 わけがわからなくなって 気づけばアーク様にすがり大泣きしてしまった 「おわびに今週末 一緒に街に行って布と糸?買うの付き合うよ」 新しいお茶を入れてくれて いたずらっぽくウィンクしながら言うアーク様 「街…?」 「うん 車で30分くらいかな すぐだよ」 「街!行ってみたいです…!」 伯爵邸を出た後 シグと暮らしていた山の近くには村があって たくさんの家やお店があって珍しいものがいっぱい売っていた たまにしか行けなかったし貧しかったので シグの作った物を塩や薬と交換するだけで何も買えなかったが 見ているだけでワクワク楽しかった 「街って村よりもっと大きいんですよね?」 「そうだね いろんなお店があるし人もいっぱいだよ」 見たこともない街にワクワクが止まらない 「はじめてのデートだね」 「デート?」 「デートってのはね…」 アーク様のいたずらな顔が耳に近寄る ドキン ボクの心臓がうるさくなる 『好きな人同士がおでかけすることだよ』   

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