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好きの種類 (5)

好きな人同士… 自室のベッドの上でフェルは眠れず 今日のことを思い返していた ボクはアーク様 大好きだ 柔らかな物腰でボクの話をたくさん聞いてくれる ネヴィル・ロジェ・ティノ・クリストフェル・パリス・アドリアン・フランツ 入学以来いつも一緒にいてくれるこの7人も大好きだ あとは…えっと… ーージュリアス様 大好き… 優しい言葉をかけてもらったわけでも 楽しくおしゃべりしたわけでもないのに なぜだか心臓がうるさくなっちゃう ツッキン ジュリアス様を想うと心臓が痛い 他の誰とも違う 学校の中でも校庭でも いつかどっか探してしまう ひと目でも見れたら…その日は1日幸せだった こんな感情はイケナイこと…? アーク様にされたキスをジュリアス様にされたらどんなだろう 自分の唇にそっと触れてみる (ジュリアス様でも同じように   昔のこと思い出して怖くなっちゃうのかな…?) ベッドの中で眠れずモゾモゾするフェルの横では 同じく眠れずにいるネヴィルがいた 「…眠れないのか?」 突然 話しかけられてビックリした 「ご…ごめん」 「なんか心配事?」 月明かりの柔らかな光の中 ベッドに寝そべりながら優しい瞳で聞いてくれる フワフワのとうもろこし色の髪の既に親友とも呼べる同級生 いつも隣りにいてくれて心砕いてくれる 「ネヴィル…」 「ん?」 「……大好き」 思わず言っちゃった 「うぇっ!!!???」 あっという間にネヴィルの顔が染まっていく 「あ ごめん 変なこと言っちゃった…」 「いや!  す す す す すきって?! オレを?フェルが??」 うつぶせになり枕を抱き込みながらティッシュを探すネヴィルが おかしくて面白くて楽しくてたまらない 「ネヴィルみたいな兄さまが欲しかったな…」 たくさんいると聞くネヴィルの弟妹が羨ましかった 一度写真を見せてもらったがみんなネヴィルにそっくりなとうもろこし色の髪で可愛かった 「フェルはオレの弟みたいなもんだよ」 そういうネヴィルは複雑な表情をしていたが すぐにいつものニカッとした笑い顔で 「今度 オレん家来いよ 夏季休暇!    みんなに弟分のフェルを紹介したいし いっぱい遊ぼうぜ」 「ホント!? いきたい!ボク行ってもいいの!??」 「もちろん!みんなも大歓迎さ」 2週間ほどある夏季休暇はみんな家に帰るけど ボクは帰る場所がないから寮にずっといるつもりだった ベッドから飛び出て隣のベッドのネヴィルの首に抱きつく 「嬉しい…ありがとぅ…っ」 嬉しすぎて涙が出ちゃう 「ネヴィル 大好き!  ボクこの学院にこれて ネヴィルと出会えて本当に良かった…」  

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