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誘拐【1】

光も差し込まない窓のない薄暗い部屋 「ぅ…」 冷たい床の上で意識を取り戻したフェルは 体を起こしボンヤリと辺りを見回した 自分が今いる知らない部屋は、 遠くにあるドアから漏れ出す光でウッスラと明るいくらいで 視界は良くなかった (ここは…?) 起き上がろうとするとカチャ…と金属のこすれる音がした 音の先をさぐると鎖のようなものに手が触れる それを手繰っていくと、自分の左足首へと伸びていて 左足首には枷のようなものがつけられていた (…ボクは ネヴィルん家から………) (そうだ 車で移動中に運転手さんが倒れてその後に…) (にぃ…さま…!) カーティス(義兄)に襲われたことを思い出した 大きく大人のようにも見えたあの男は 確かに忌まわしい記憶の中にある カーティス(義兄)と同じ顔をしていた クリストフェルは!?薄暗闇の中キョロキョロとクリストフェルの姿を探すと すぐ近くに誰かがいる気配がした 「だれ…?」 返事はない 暗闇に目が慣れてきて、見知らぬ誰かが子供だとわかる その子に触れようと手を伸ばし近づく 膝を抱え頭を項垂れ座っている子供の髪に手が触れる 「だれ?だいじょうぶなの?ここはどこ?君も捕まったの?」 矢継ぎ早に質問するが返事は帰ってこない よく見るとその子の足にも枷がハメられていて、それはフェルの鎖と繋がっていた 「ねぇ…「…コピー」」 再び問いかけようとしたら弱々しい返事が返ってきた 「え?」 「コピーだ……」 顔をあげた子供が感情のない声で答えた 「名前?コピーって言うの?ボクはフェル」 「……出来損ないだ」 「え…?」 会話が成り立たない、この子も捕まったのだろうか?なんにせよ早く逃げないと 「逃げよう?あのドアまで一緒に行こう?」 「無理…」 「なんで?カギかかってるの?とりあえずドアまで行こう」 引きずるようにコピーの腕を取りドアまで歩く ガチャガチャと取っ手を回すがやはりカギがかかってる パチンと音がして暗かった室内が明るくなる ドアの横に立つコピーを見ると、電灯のであろうスイッチを触っていた 「あ…電気ついたんだ」 ホッとして少し気が緩んだ 明るくなった室内でコピーを見ると 背丈はボクと同じくらいで金髪に茶色い目の男の子だった 室内を見回し、なにかドアを壊せそうなものがないか探す 大きな部屋に大きな机と椅子、古びた革のソファがあるだけ 「この部屋は…」見覚えがある そうだ あの伯爵邸の地下の部屋だ…! (またあそこに連れ戻されたんだ…) トラウマが蘇る 義母上の恐ろしい顔、 カーティス(義兄)にされた行為が 次々に脳裏を巡り、体が震えだす (逃げないと…!) コピーに向き直り両肩に手を置き説得するように話す 「ここにいちゃ危ないんだ 逃げないと君も何されるかわからない  一緒に逃げよう?あの椅子でこのドア壊すから手伝って」 「…だから無理だって」 無表情のままコピーはその場に座り込む 「なんで!?早くしないとにぃさまが来ちゃう!」 「逃げれないって…」 逃げる気をなくしているコピー 「なんで?逃げたことあるの?」 「…ある」 コピーはノロノロとシャツのボタンをはずしだす 全部のボタンをはずしスルリと脱ぐと 背中をフェルの方に見せてきた ―――同じだ――― コピーの背中には フェルと同じようなピンク色の引き攣れたような傷が無数に這っていた

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