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誘拐【12】カーティス回想 1

眠って起きても誰も地下室にはこない。 このままボクはここで死ぬのかな?不安になるが、それ以前にトイレに行きたくて仕方がない。 鎖が届かずバスルームまで行けない。とうとうガマンの限界が訪れ漏らしてしまった… 12歳にもなってお漏らしだなんて情けないけどボクのせいじゃないと開き直る。 漏らしたズボンと下着を脱ぐ。 このまま誰にも見つけられずに死ぬのかなぁ…死ぬ前に海を見に行きたかったな。ジェイと約束した海に行って、不思議な音のする巻貝をたくさんたくさん拾って、来年のマルブランシュの日にボクの大事な友人たちにあげたかったな…。 ボクはまた眠っていたようで、戻ってきたカーティスに起こされた。 「コピーは戻ってきてないか?!」 青い顔のカーティス。もしかしてずっと探してたんだろうか?ボクの足元を見て顔をしかめた。 「漏らしたのか」  恥ずかしくて涙が出そうになる。 黙ってタオルで床とボクの足を拭いてくれて、首の鎖を緩め手枷も外してくれた。ずっと後ろ手で拘束されてたせいで両腕に感覚がない。 「このくらい長さがあれば風呂場にも行けるだろう、風呂に入ってパン食っとけ」 「コピーは?また探しに行くの?」 「この辺にはいなかった 街まで行ったのかも知れない、車で探しに行ってくる」 「どうして?」 ぼくはフロランになりきって、わざと意地悪く聞いてやる。 「オリジナルのボクがいるのにコピーはもう用無しでしょ?さっさと移動しないとやばいんじゃ?そのうちボクの知り合いがここを探し当てるよ?」 カーティスの眉間にシワが寄る。 「コピーは所詮コピーでしょ、だから去っていったんだしそっとしといてあげたら?」挑発するように鼻で笑ってやった。 「黙れ…」   表情が怒りに変わった。 「黙れ!黙れ!」  ヤバイ…煽りすぎたかも…… 「お前に何がわかる…」鎖を持つ手が震えている。 引きずられ部屋の真ん中まで連れてこられる。首が締まって呼吸ができない。ヤバぃ… ノドが痛くてヒューヒュー音がなる。押し倒されむき出しの両ももを抱え上げられる。 「やめ…ろっ…ばか!」感覚の戻らない腕で殴ろうとするが体ごと伸し掛られ抑え込まれた。 シャツしか身に着けていないボクの股間が丸見えになる。 「躾け直しだ…とりあえずここにオレのをブチ込んで再教育だ」 ボクは煽ったことを後悔した。 ***カーティス回想*** 母に刺されて意識不明のオレが数カ月後に病院で目覚めた時、フェルはもう行方がわからなくなっていた。 母はあの後、自分の喉を突いて死んだと聞かされた。 可愛そうな人だ―――と思うが悲しくはなかった。そこまで夫を想う気持ちが理解できずイライラした。 体が回復するにつれオレは再びフェルを手に入れたいと願うようになった。この刺された傷跡をアイツに見せながら組み敷き、オレのペニスをブチ込んでやる。 想像するだけでゾクゾクした。 あの日も王都に手がかりを探して出かけていた。 路地裏をブラブラしていると金色の髪の子供がトラックに乗せられるのが見えた。 見つけた―――と思ったが全然違った。 茶色の瞳に平凡な容姿、これがフェルのわけがなかった。 立ち去ろうとしたが、その子供の何も見てないような捨てられた人形のような瞳が気になった。 聞こえてきたのは臓器売買の話。裏社会ではよくある話だ オレには関係ない。 なのに 気がつくと拾ってしまっていた。

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