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誘拐【13】カーティス回想 2

オレにとってはたいした金額じゃなかったコイツの値段。買う気もなかったのに買ってしまった自分への言い訳として、こいつをコピーと名付けた。フェルが見つかるまでのオモチャにするつもりだった。 「ご主人さま、美味しいご飯ありがとうございます」 「ご主人さま、おもらししてごめんなさい」 「ご主人さま、手…つないでいいですか?」 「ご主人さま、暗いの怖いです」 コピーは手がかかることこの上なかった。 うっとおしい反面、このように無条件に慕われたことがなかったオレは…… オレ以外の大人を怖がり泣き叫ぶせいで使用人には手を触れさせず、オレがおもらしの後片付けもした。 暗くて怖いと泣くこいつといつの間にか一緒に寝るようになり、その温かな体温が、心臓の鼓動が、オレに向ける無償の笑顔が手放せなくなっていった。 オレはそのうちフェルのことを見つけるためでなくコイツを楽しませるために街に通っていた気がする……。 なのにあの日見つけてしまった。あの顔あの瞳 間違いない―――フェルだ。 銀髪の長身の男 あいつは見覚えがある。王族の誰かだ。なんだか胸がモヤモヤした。 オレは大怪我を負って死の淵をさまよっていたのに、あいつは幸せそうに… そのあたりからだろうか、コピーが笑わなくなった。笑わないだけでなく泣きもしない。夜も一人で寝ると言う。 オレはイライラが止まらなく、愛撫するだけに留めていた小さなあの子の体を無理やり奪った。それでも泣きもせず人形のように、ただされるがままだった。 何度抱いても苦しそうに顔をしかめ喘ぐだけのコピーにいらだち、オレはフェルにしたことと同じことを教え込んだ。 忠実に再現するコピー。苛立ちは止まらなかった。 フェルのコピーなんだからと背中に鞭打った。傷が痕に残ると嬉しそうに目を細めたコピー。 こんな顔のコピーはオレのコピーじゃない。 オレのコピーは感情豊かで、なんでも喜んですぐに泣いて、ご主人さまご主人さまとついてまわった。 あのコピーは もういないのか――― ある日 コピーは無表情のまま、ポツリと呟いた。 「ご主人さま オリジナルを手に入れましょう」と… ******コピー視点******* あの少年と別れた後、ボクは死に場所を求め歩いていた。バザールの屋台でふとガラスのブレスレットが目に止まった。 (キレイだ…ご主人さまの目の色と似てる) その赤褐色のガラス玉のブレスレットを購入して腕に巻きつけた。 ちょうどお金も尽きたし、高い場所に登って死のうと辺りを見回す。そこらじゅう警官が走り回っていた。 オリジナルを探しているのか…? ボクの金髪を見て警官が話しかけようとして顔を見てやめる。街の人が警官からビラを受け取っていた。 落ちていたソレを拾い上げると ―――ご主人さまの顔写真が映っていた

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