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誘拐【14】

***捜査本部*** 「車種の線でも当たりましたが該当車輌は未だ発見に至っておりません」 警官の報告にジュリアスが苛立たしげに爪を噛みながら室内を歩く。王都を王立警察にしらみ潰しに家宅捜索をさせているが、発見できていない。検問に引っかかる車もなかった。 手がかりが欲しい…なんでもいい。 ジリジリと時間だけが過ぎてゆく中、地方警察より連絡が入った。 「只今連絡があり、ラトゥール伯爵邸にそれらしき地下室を発見、捜索しましたが犯人及び被害者発見ならず」 (逃げられたのか……)ジュリアスが絶望に心が折れそうになった時、警官の言葉が一筋の光明をもらたした。 「その屋敷の執事の証言により、犯人が最近居住している屋敷が判明しました」 ************************************* 『躾け直しだ…とりあえずここにオレのをブチ込んで再教育だ』 失敗した。 カーティス(義兄)の本音を引き出そうと、オリジナルとコピーどっちかを選ばせようとしたのに逆上させてしまった。 フェルの片腿を、抱え上げズボンの寛げペニスを取り出すカーティス。 とうとう犯られちゃうんだ… (ジュリアスさまにもしてもらえなかったのにな)ボクの頭は妙に冷静だ。 興奮したカーティス(義兄)の指が後孔に触れる。 ボクは全身に力を入れ……観念した。 ………? いつまでたってもぶち込まれる気配はなかった。カーティスを見ると項垂れていて、股間も同じく項垂れていた。 「こんな事してる暇ないんだ」 言い訳のように言った。 チャンスだ―――!ボクは畳み掛けた。 「そうだね二人で早く逃げよう?」 「逃げる…?」 「捕まったら死刑だよ だから逃げて遠くで一緒に暮らそう?ボクの命はにぃさまに助けられた命だし いいよ一緒に行くよ」 「遠くに…」 フェルの瞳を見ているようで見ていない焦点のあわないカーティスの瞳が、中空を彷徨い、ようやく答えにたどり着いた。 「だめだ、コピーを置いていけない」 「まただ どうして選べないの?あれはコピーだよ?」 ボクは質問を変えた。 「どうしてボクの髪を切ったの?なぜオリジナルをコピーに近づける必要があったの?」 「コピーは…」 「ボクに似せるからコピーなんでしょ?ボクの身代わりだよね?だったらもういらないよね?」 カーティスの瞳が答えを探すように部屋を見回す。 (オレがほしいのは オリジナル(フェル)なのか…?) コピーのはにかんだ笑顔、ご主人さまと呼ぶ時の声、仕草、オレに伸ばされる小さな手。平凡な顔なのに、こいつの笑顔にオレはなんでこんなにも胸が痛くなるんだ。 なんてことのない食事なのに、何を食べさせても喜んで「こんな美味しいものはじめて食べました」って涙ぐみながら言うんだ ほら…また口の周りにソースがついてる、手がかかるやつだなぁ。  ―――だったらもういらないよね?――― すぐ転んで怪我をするアイツの手当をしなきゃならない。『暗いの怖いの…男が殺しに来るから』泣くから眠るまで抱きしめてやらなきゃならない。おねしょがなかなか治らず、オレまで濡れる始末だ。 どっちがご主人さまだかわからない。  ―――だったらもういらないよね?――― ロボットみたいになったアイツにイラつき(フェルに傷を見せながら犯す)そう考えながらコピーを犯した。出血し苦痛に歪む顔を無理やり笑顔にして、あいつは嬉しそうに『ご主人さま…アイシテル』なんて言うんだ。 コピー(複製)だったら、そこは『にぃさま』だろうに。 アイツはほんとに不出来で手のかかるコピーだな。  ―――だったらもういらないよね?――― 「……いる!!!!!!!」 魂の叫びだった オレのだ…オレが買った オレが育てた… オレだけのコピーだ 抱えていたフェルの足を解放し、自分の衣服を整えたカーティスが ようやく答え(真実)を導き出した。 「お前とどっちかを選ばないといけないならオレはコピーを選ぶ  お前のコピーじゃないあの子自身を…  オレは…  オレはあの子をアイシテル………」

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