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脱出 【1】
「お前はどこにでも行け」
ボクの枷を全て外してカーティスはそう言った。腕に力が入らず、立てないのにひどいなぁ。
「コピーを探しに行くの?」
「お前には関係ない さっさと逃げろ」
「コピーはどうしたい?」
ボクの言葉に視線にカーティスが驚き振り向くと、そこには全身泥だらけになったコピーが立っていた。
(どうしたい? アイシテル?ご主人さまがオリジナルよりボクを…?)
コピーの目から涙が溢れ出て顔がクシャグシャに歪み、カーティスに駆け寄り抱きついた。
「ご…っしゅじんさま!」
「コピー!どこ行ってた なんで泥だらけなんだ!?」そういいながらコピーの体にケガがないか撫で擦る。
「探したんだぞ…悪い子だな」 安心したように抱きしめた。
「…ごめんなさい ご主人さま ボク…ボクはもう、オリジナルがっ、いるから…。もう、す…ヒック捨てっ…られる…、からっ…。死…ヒック 死のうと、おも…っ」 泣きすぎて言葉に詰まるコピー。
「バカ!勝手に死ぬなんて許さないぞ、オレが買ったんだお前はオレのなんだから勝手に死ぬな」
(ご主人さまをアイシテル―――愛してる)
『そこのお前 生きたいか?』
あの時、路地裏で問いかけられて自分でもわからなかった
でも今のボクは
ボクは…生きたい
ご主人さまと一緒に
生きたいんだ―――
「生きたいです、ご主人さまと一緒にボク、ヒック、生きたぃ…!!」
カーティスの顔が苦しげに歪む。
「こんなどろんこになって…死のうとしたのか?またキレイにしなきゃじゃないか、手のかかるやつだな」言葉とは裏腹な優しげな物言い
「ちが…っ ヒック 帰りに、と、トラック乗って、ヒック、検問あって……」ハッとしたようにコピーは体を離す
「……逃げて!ご主人さま…逃げて早く!」コピーは握りしめた手配書を見せる
もう名前も顔もバレているんだ―――
急がないと
階段のほうが騒がしいと思った瞬間、なだれ込んできた警官たちに包囲された。
床に倒れ半身を起こしたボクの前にいるカーティスににじり寄る銃を持つ警官たち。
その後ろからユックリとジュリアス様が入ってきた。
ゲッソリとやつれたお顔が、どれだけ心配してくれたかがわかる。
(ああ…懐かしい。たった1週間?10日?わからないけど、スゴク懐かしいボクの愛しい人がそこにいた。会いたかった…ジュリアス様が)
ボクを見つけるとそのお顔が苦しそうに歪み、カーティスを見ると怒りに変わった。
警官の帯刀してる剣をスラリと抜くジュリアス様。
「お前…フェルに何をした…」殺気に部屋中が凍りつく。
「待って…ジュリアス様!ダメ…」ボクは体を起こそうとするが腕に力が入らない。
「殺す!!」
ジュリアス様が剣を振り上げるのが見えた。
「だめええええええええええええええええええええ!!!!!」
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