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最終話

「いいんですか?明かり……暗くするのが確か条件でしたよね」 「今はそのままでいい。和泉の顔、見ながらしたいから……」  ベッドに移動した俺たちは、あの日を思い出すようにゆっくりと身体を重ねた。 「もう、……ッ」 「いいよ、挿れて……」 「……ッ……潤……さん」 「んッ……あぁッ……気持ち……ッ……い、い……」 「俺……も……ッ……で、す」  ゆっくりと挿って来た和泉のモノが熱く波打ち、あの夜を思い出させる。  抱きしめ、覆い被さるようにしている和泉へと手を伸ばして視線を捉えると、俺たちは引き寄せられるように何度もキスをした。お互いの舌を絡めながらもっともっと深く繋がる。 「深ッ……んんッ……あ……ん」 「俺を感じて……ッ……もっと……」 「い、ず……ッ……あッ……」 「名前……」 「……な、に……ッ……」 「名前で……呼んで……ッ」 「……じゅ……んの、すけ……ッ……淳之介……ッ」  名前を呼びながら快楽の端でふと思い出す……傘の持ち手部分に彫られていた「JUN」というサイン。 「名前……ちょっと、似てるんだよな……俺たち」  荒い息を吐き出しながら和泉が微笑むと、そのままゆっくりと頷き、次の瞬間、突き上げるスピードを上げながら耳元で何かを囁かれた。 「……な、に……ッ……んあぁッ」  答えを聞かされないまま、一気に昇りつめた俺たちは、 「……ッ……潤さん、もう……出る……ッ」 「ん、ああッ……俺も、イく……ッ……」 「中、熱くて……ヤバいッ……イッ……」 「あッ……ああッ……イくッ……」  和泉は俺の中へ、俺はお互いの腹の間に熱い欲を吐き出した。 *  一度極めたあとは、今までの時間を埋めるかのように何度も何度も繋がった。  そして疲れ果てて荒い呼吸のまま二人ベッドで微睡んでいると和泉が口を開く。 「あの夜、一度だけ唇にキスしてしまったんですよね……覚えてますか?」 「覚えてる。けど、気づかなかったことにしてやるよ」 「そんな優しいあなたが好きです」 「ちょ……ん……ッ……いず、み……」  唇から伝わる優しさはあの時のまま。 「潤……さ、ん……ッ……愛してます」 「あぁ……俺も……」  目を閉じ、キスを受け入れていると、身体中に水が染み渡るような、そんな満たされた感覚になる。 「俺たちが再会したこのクラブの名前……意味分かります?」 「HIDRANGEA……だっけ?考えたこともなかったけど」 「紫陽花という意味。そして別名は水の器です」 「水の器……」 「なんだか、紫陽花って潤さんみたいだな……って、だからここで働こうって」  そう言いながら微笑むと、俺にもう一度優しくキスをする。  そして、この身体が和泉からの愛で満たされ、溢れ出すくらいにいっぱいになる度に俺は知ることだろう。 この男からの愛は果てしないものなのだと…… END

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