11 / 34
09
〇住宅街 朱華のアパートの手前の道(午前中・晴れ)
辰典「見つけたぞ?」
車から降りた辰典が、ぼそりと呟く。見るからにヤクザといった服装に黒のベンツ。サングラスも掛けている。
古いアパートの一階、一番端の部屋。植森という表札をチラッと見て、チャイム無いため、その扉をコンコンとノックする辰典。
朱華「はい」
少しだけ扉が開いて、そろりと顔を覗かせる朱華。ドキリとする辰典。
辰典「昨日の報酬だ」
万札の束が三個入った厚みのある紙袋を差し出す辰典。
朱華「お金は要りません。お帰りください」
パタンと扉を閉める朱華。
辰典「何故だ?」
辰典、軽くぐぬぬという顔。
ともだちにシェアしよう!