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一度車に戻り、金を後部座席に放り投げる辰典。代わりに高級菓子が入った紙袋を三個持って、再び朱華の部屋の前へ。また扉をノックする。
朱華「なんなんですか?」
またひょっこりと顔を出す朱華。
辰典「菓子だ。食い物なら良いだろう?」
朱華「要りません。迷惑です。お帰りください」
冷たくぴしゃりと言い、扉を閉めようとする朱華。
辰典「待て、待て待て、何がいけない?」
扉が閉まる前に早口で尋ねる辰典。
朱華「まず、その服装です。目立ちます。お帰りください」
パタンと扉が閉まった。
辰典「服装……?」
辰典、ぐぬぬという顔。
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