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第7話

俺だけじゃなく目の前の兄にもきっと聞こえてるはずなのに無言の兄と、遠くから聞こえてくる血しぶきの音と楽しそうに笑う男どもの声。 少しして、悲鳴は止んだのに俺の耳にはまるで目の前でその光景を見ているかのように身体を切り裂いた時に出る血しぶきの音や肉を無理やり引き裂く音が鮮明に頭の中に入ってくる。 目にしてもいないのに、サァーっと血の気が引くのを感じながらさっき此処で話をしていたあの男や女達がもしや死んだのでは?赤髪やそのほかの奴らに殺されたのではないのだろうか…そう頭の中が支配される。 また恐怖心がよみがえりだしてきた。いつの間にか頬を固定していた兄の手は腰に回っていたが、気になりはするものの現状悲鳴の聴こえた方へ見に行く勇気もなく立ち尽くしていたら聴こえていた音は止み、急に曲がり角から車が出てきて真横に止まった。 その車は最悪なことに見覚えのある車、間違えで無ければ先程目の前に此処に止まった車と何処をどう見ても一緒だった。 助手席に乗っていた赤毛をみてこの状況に聞きたい言葉はあったが触れぬが仏とただ黙っていた。 何食わぬ顔で目の前に止まったこの車の後部座席のドアを開けた兄に横に乗れと無言で腰をひかれ後部座席に一緒に乗る。 車の中をマジマジと見た記憶は無いが車内の匂いや女性の髪の毛が落ちていたり、引き摺り落とされたのだろうか布を引きずったような痕が見られ遅れて確信をした彼らの死に恐怖心が募る。 『逃げたい。逃げたい。』開いた窓から外を眺め逃げ出せないか考える最中も小刻みに震える身体をどうにか止めようとするが中々上手くいかず、そんな俺を横目で見つめる兄。 end

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