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第8話
あっという間に過ぎ去った週末。
約3日間ずっと先輩に抱かれていた。
爛れてる。
あ~もうマジ最悪だ。
何アレ。
マジ番のフェロモン半端ない。
恐ろしいわぁ、ほんっと。
身体と本能が完全にαである先輩に服従していた。
与えられる熱が最高に気持ち良くて、頭の中が真っ白になった。
多分僕はもう先輩から逃げられない。
暗い気持ちのまま登校した。
「おはよう」
嗚呼、気まずい。
翠葵は僕を見た瞬間固まり、一瞬物凄く泣きそうな顔をしたがスグに笑顔を作り
「おはよう、星流」
いつも通りの態度を取った。
多分僕が変わった事に気付いたんだ。
αに抱かれた事により、以前より女顔に拍車が掛かった。
僅かにあった男らしさも無くなった。
もう完全に今迄の僕は居なくなってしまったんだ。
「先輩と付き合うの?星流」
聞かれ
「…………うん」
肯定する。
もう先輩からは逃げられない。
心より先に身体が堕ちてしまったからだ。
「星流」
ピクンッ。
1限目の休み時間、廊下から呼ばれた名前。
ほら、声を聞いただけで反応した。
完全に手遅れだ。
「おいで?星流」
無意識に動く身体。
甘い麻薬に溺れてしまった身体はもう引き戻せない。
「…………星流」
哀しげに呼ばれる名前に心が泣き叫びながらも振り返れない身体。
いずれこの酷く甘美で全身を侵す猛毒は身体だけでなく、精神迄をも壊すだろう。
先輩だけを愛し、先輩だけを欲する。
優しく触れる指先に、甘く囁かれる睦言に、それも悪くはないなと感じる位僕はもう先輩に絆されてしまっている。
心迄捕らわれてしまう迄あと僅か。
それ迄はねぇ、翠葵。
君の事を好きで居ても良いだろうか。
翠葵ごめんね。
好きになって、ごめん。
だけど好きなんだ。どうしようもない位、君が……好き…だ。
近付く綺麗な顔を視界に入れながら、ゆっくり僕は瞼を閉じた。
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