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第1話

「な、なぁ…」 「ん?どした?」 「驚かないでほしいんだけど…」 「おう」 「…あの、さ…俺、お前のこと好きなんだ…」 目が見開かれる。 当たり前だけどとても驚いている。 答えを聞くのが怖い。 気持ち悪いと拒絶される? それとも、俺の気持ちを受け入れてくれる? 「…は?なに、お前ホモなの?…気持ち悪っ…」 「…っ」 分かりきっていたのになんで言ってしまったんだろう。 拒絶される、突き放される。 全部全部分かりきっていたのに… 「俺帰るわ」 「ま、まって…」 「触んなよ、気持ち悪い。もう話しかけんな。同性愛者。」 同性愛者。 また現実を突きつけられる。 わかってた。 自分がおかしいことなんか俺が一番わかってる… 「俺みたいなやつ、ここに居場所なんかないんだ…おかしいのなんて俺が一番しってんだよ…」 俺が皆と違うことを知れば相手は俺を突き放す。 まるで俺を異物みたいに。 ..... 「…」 朝、下駄箱を見ると上履きがなかった。 変わりにゴミやらなんやらが詰め込まれていた。 「はぁ…」 昨日のこと、あいつ皆に話したんだな… 今日からきっと地獄のような日々が続くんだ。 諦めてスリッパを借りようと職員室に向かう。 「おい、来たぞ」 そんな声が聞こえて後ろを振り向く。 バサッ 「…」 …まさかゴミをかけられるとは… 「いい気味。臭いからあっち行けよ同性愛者」 まただ。 また、同性愛者だと言うことを指摘される。 なにも言い返せない。 事実なのだから仕方がない。 とりあえずトイレで身だしなみを整えよう。 「予想はしてたけどほんとにいじめられとは…いじめなんかほんとにあるんだな…」 しんどい気持ちで身なりを整える。 「朝井くーん。いるんでしょー?さっきはごめんね?ちょぉっとふざけただけなんだぁ。」 嫌な笑い声をあげながら俺がいる個室に近づいてくる。 「これ、お詫びね?」 息を潜める。 …冷たい。 頭から水をかけられたみたいだ。 笑い声とともに足音が小さくなる。 覚悟してたのに、なんだかとても辛くてしんどい。

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