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第4話
「朝井君、後で放課後第3学習室来て」
「…はい」
どーせまた殴られたり蹴られたり痛い思いするんだろうな…
従わなかったら従わなかったでめんどくさいし…
行きたくないって言う気持ちと行かなきゃいけないって言う気持ちが頭の中でずっとぐるぐるする。
楽しい時間はあっという間って言うけど放課後になるまでの時間があっという間だったのはなんでだろう。
もちろん行くのは嫌に決まってる。
「おせぇよホモ。お前ら、朝井来たから…さっそくやっちまおうぜ。」
そっからは地獄のような時間が続いた。
あいつが助けに来るまでは。
「君達、なにしとん?」
「あ?誰だよ。…ぁ、風音…」
「はようそこからどきや」
「なんでお前の言うこと聞かなきゃいけな…」
「…消えろっつってんだろ?」
「…チッ」
ゆっくり風音が近づいてくる。
なんだかそれが怖かった。
「や、やだ…来ないで…」
「なんもせんから安心したってや」
風音が優しく抱き締めてくる。
あんまり知らないやつに抱き締められてんのになんだかとても安心する。
「保健室いこか。手当てした方がええやろうし。」
「や、まって、それじゃ風音が…」
「俺までいじめられるかもって?んなこときにせんでいいねん、それより朝井君の方が優先や」
朝井…。
いじめてくる奴は大抵苗字で呼んでくる。
風音が朝井と呼んでくるのは酷く寒気がした。
「っ…朝井って呼ばないで…嫌だ…」
それに朝井と言う苗字は大嫌いな母親の大嫌いな再婚相手の苗字だ。
そんな大嫌いな奴と一緒の呼ばれかたをされていると思うと一層気分が悪くなる。
「…わかった。じゃあ青羅って呼んでもええ?」
「…う、うん…」
風音に優しく手を引かれ、保健室に向かう。
風音はなんだか辛そうだった。
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