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第4話(完)

「あ、あの、でも私、大竹先生だったら攻めの方が……」 「何言ってるの!私たちは大竹が苛められて泣かされてるところを想像したいだけ!どうせ萌えの対象になんか大竹がなるわけ無いんだからさ!」  いや、どう見てもさっきから萌えてるようにしか見えないんだけど……。  あぁ……どうしよう……。なんか、すごい設楽くんが怖い……!普段はすごい優しい顔しかしないのに……!やっぱり設楽くん大竹先生と仲良いから、こんな事言われて良い気持ちしないよね……?私だって友達がそんな風に言われてたらイヤだし……。  茉莉香が設楽の顔色を気にしいてたら、先程「相手は設楽くんが良いな」と言った衣澄が、設楽の方を見てニヤニヤしだした。 「ね、ね、見て。設楽くんの顔!」 「あ、ほんとだ!何!?設楽くん、やきもち?」 「違ぇよ!もうお前らいい加減その胸くそ悪い妄想止めろよ!」  設楽が叫ぶと、周りの男子も一緒になって「そうだよ女子!マジでホモとか気色悪いんだけど!」「弁当まずくなるだろ!やるなら別の所でやれよ!」と叫びだした。 「ごめんごめん、設楽くん。やっぱり設楽くんが頑張って鬼畜攻めする方が良い?」 「いや~!そんな設楽くん想像できないよ!!」 「するな!」 「お前らは同人誌でも作って黙って妄想してろよ!」 「やだよ!貴重な原稿の時間を、なんで大竹なんかに費やさないといけないわけ!?」 「そうだよ!印刷代がもったいなさ過ぎる!!」 「まじオタク女子キメェ!」  そう叫び合っていると、昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。 「あ、いけない!トイレ行っとかなきゃ!」  慌ててみんなが立ち上がり、茉莉香も一緒に廊下に行きかけて―――そのまま、設楽の脇まで行った。 「ごめんね、設楽くん」 「……」  設楽の機嫌は最悪だ。返事も寄こしてくれない。  へこたれるな、茉莉香!  茉莉香は自分をそう鼓舞すると、勇気を振り絞って叫んだ。 「設楽くん!私は設楽くんの味方だから!森田先生や松川先輩になんて負けないで!」  それだけ言うとすっきりして、茉莉香は唖然とする男子を残して教室を後にした。  ────────後に残された男子は何と言っていいのか分からず、取り敢えず設楽の肩をぽんぽんと、次々に叩いた……。 ********* 「とゆーことが一年の時にあったんだけど!」 「……だから、それ俺と何の関係が……」 「あるだろ!?関係あるだろ!?」 「……それ、女子のただの妄想じゃ……」 「で、森田先生とはどんな関係が!?」 「……無いから!」 「松川先輩は!?」 「だから、全く何にも無いから!!!」  ────茉莉香達も、まさかこの時のバカ話がきっかけで、本当に大竹が誰かさんに苛められるとは想像もしていなかっただろう……。  ……大竹先生、女子の恨みはあんまり買わないようにした方が良いよ、というお話しでありましたとさ。 ~おしまい~

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