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俺を好きになってくれませんか。

「俺が断ってるの聞いてたよな?」 「はい、けどあの社長諦めてなかったでしょ?そのうち遥さん絆されそうで…」 こいつの中で俺はどういう風に捉えられているのか。 「他の事ならともかく、付き合えとかそういうことに絆されるわけねーだろ」 笑ってしまいながら言い、コーヒーを飲み、何気なく侑司を見ると、俺を見ていた。 もう目が好きだと告げている。 この目に気付かないヤツがいるんだろうか。 一時も言動を見逃すまいと捉えられ、強く熱く視線に捕まる。 最初は居心地が悪く、その視線から逃げ隠れしていたが、 いつの間にかその目に捉えられることを望むようになった。 ゲイになったのか、それとも気付かなかっただけで元々ゲイだったのか。 恋愛対象はこれまで女性だけだったし、男に何の興味もなかった。 今回のリサイクルショップの社長のようにそんな誘いを受けたこともあるが、悪寒を感じることはあっても考えることすらなかった。 侑司だから、なのか。 同僚だから、なのか。 両方なのか。 わからないが、無理だと断ることはしたくなかった。 「好きか嫌いかって聞かれたら、好きだよお前のこと。 けど、お前の望むような好きではないと思う。 でも…お前が他のヤツと付き合うってなったら、たぶん、ざわざわする」 俺の言い終わるのを待ってコーヒーを煽り飲み干した侑司は俺の手首を掴んでベンチから立ち上がらせた。 バス会社のすぐ脇の暗い細い路地に俺を伴って入り込むと緊張した声を発した。 「抱き締めてみてもいいですか」 「抱き?」 俺が侑司を仰ぎ見た時にはもう侑司の腕の中にいた。 酒と煙草の匂いに混じっていつもの侑司の匂いがした。 柔軟剤の匂いなのか香水の匂いなのか、近くにいる時に時折鼻を擽っていた匂い。

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